ヒトの卵子は精子を選り好みしていると判明! ”細胞レベル”での相性が存在する

technology 2020/06/12
卵子の好みは女性の意志とは無関係/Credit:depositphotos
point
  • 卵子には独自の好みがあり好みの精子を強く誘因する
  • 卵子の好みの精子が愛する男性のものとは限らない
  • 卵子の好みを解明できれば不妊治療に役立つ

卵子は”精子を選り好みしている”と最新の研究により明らかになりました。

しかも選り好みの基準は、女性の意思とは無関係に作用するようです。

受精の瞬間、人間の卵子は卵胞液を分泌し、その化学成分の濃度の差を目印に、精子を導くことが知られています。

ですが、卵胞液がただ精子を導くためだけに分泌されているのか、疑問に感じた研究者がいました。

ストックホルム大学のフィッツ・パトリック氏がその一人であり、受精において卵胞液は、精子を選択する役割があるのではないかと類推。またその選択は、女性が男性を「愛」しているほど優位に働くだろう、とロマンチックな予想も立てました。

しかし、実験結果は、予想とは異なるものになったとのこと。

卵子は「愛」の方向とは無関係に独自の判断基準を持ち、別の好みの精子をより強く、より早く導いていたのです。

卵子は好みの精子を強く早く引き付ける

卵子は特定の男性の精子をパートナーより強く引き付けることがある/Credit:depositphotos

科学実験で「愛」の力を証明すべく、パトリック氏は複数のカップルから卵胞液と精子を提供してもらいました。

そして卵胞液と精子を総当たりで組み合わせて卵子が卵胞液を通して、愛する相手の精子を他の精子よりも強く引き付けるかを調べました。

しかし結果は予想を裏切りました。

卵胞液は2人の関係とは無関係に、特定の精子をより強く(18~40%多く)吸引していたのです。

同じような結果は実験サンプル全体にみられたので、パトリック氏は、卵子の選択は女性の意志を反映せず、独自の好みがあると結論付けました。

予想外の結果は不妊治療に革新をもたらした

予想外の結果は技術革新につながる/Credit:depositphotos

現在、世界では平均的に10組に1組のカップルが不妊に悩んでいます。

また不妊に悩むカップルのうちでも、3分の1は「理由のない不妊」と言われ、男女ともに全くの健康体でありがなら、子供をもつことができないでいます。

一方で「理由のない不妊」の場合は、精子か卵子を別の人間に変えることで、妊娠に成功する場合も知られていました。

今回の研究結果は、この「理由のない不妊」の原因を説明する可能性があります。

また今回の研究を契機に、卵胞液の誘因成分の僅かな個人差を特定することができれば、パートナーの精子に合わせた卵胞液を前もって準備することも可能になり、体内・体外両方の受精成功率を飛躍的に高められるかもしれません。

そうなれば、最後に勝つのは「愛」だと言えるでしょう。

研究内容はストックホルム大学のジョン・L.フィッツパトリック氏らによってまとめられ、6月3日に学術雑誌「Proceedings of the Royal / Society B」に掲載されました。

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reference: inverse / written by katsu
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