大気中のチリから、生命の存在できる惑星か判断する研究。 「ハビタブルゾーンが広がる可能性」

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Credit:depositphotos
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  • 塵に覆われた惑星では、塵の冷却効果と温暖化効果によりハビタブルゾーンの条件を広げる可能性がある
  • 系外惑星の塵の影響を、最先端の地球の気候モデルを使ってシミュレーション
  • 結果、これまで生命居住不可能とされていた惑星でも、生命が存在できる可能性が示された

古典的なSF映画に『デューン:砂の惑星』という作品があります。

こうした砂漠に覆われた惑星のように、空気中に多くの塵を持つ星は、主星(太陽)からの距離がより広い範囲でも居住可能になる可能性があります。

塵には太陽光を遮って気温を下げる効果と、気温を保存する2つの効果があり、これはこれまで生命の存在が難しいと考えられていた惑星環境を、生命の居住可能な環境に修正できるかもしれないのです。

果たして、この研究は私たちの将来的な移住先や、地球同様の生命が繁殖した惑星を発見できるのでしょうか?

惑星のハビタブルゾーン

赤色矮星系と太陽系のハビタブルゾーンの比較。青い帯で示された領域がハピタブルゾーン。/Credit:Wikipedia

現在太陽系外の惑星は数多く見つかっており、こうした惑星に地球の生命が存在可能かという部分に興味が向けられています。

生命の居住可能領域――いわゆる惑星のハビタブルゾーンには、「液体の水が存在できるか?」という点が重要になります

これには惑星の気温を決定する太陽(主星)との距離が重要になります。

太陽に近すぎれば当然熱くて水は蒸発し、そんな環境ではまともに生命は存在できません。逆に遠すぎればすべてが凍りつき、やはり生命の存在は難しくなるでしょう。

赤色矮星を回る惑星

Credit:ESO/spaceengine.org

赤色矮星(M型主系列星)は、太陽よりも小さく涼しい恒星です。

赤色矮星の周りでは、非常に星に近い領域にハビタブルゾーンができます。

主星と惑星の距離が近い場合、惑星は自転と公転の動機が起きる可能性が高くなります

自転と公転の同期(同期自転)とは、地球と月にも見られる現象で、主星に対して伴星が常に同じ面を向けている状態のことです。

これが起きた惑星では、常に光を浴び続ける面と光が当たらない面が生まれてしまい、地域によって昼と夜がロックされてしまいます

すると昼地域はどんどん暑くなり、夜地域はどんどん冷えて、結果生命の居住できない環境になってしまうのです。

このため、赤色矮星の周りではたとえハビタブルゾーンに存在する惑星を発見できても、同期自転していれば生命は存在できない環境だと考えられていました。

塵が及ぼす影響

今回の研究チームは、塵の持つ主要な影響を3つに分離させて、分析を行いました。

そして、同期自転が起きた惑星でも塵に覆われている場合、昼地域の気温を下げ、夜地域へ余分な熱を運ぶことで、ハビタブルゾーンが形成できることを発見したのです。

惑星から水が失われ海が縮小すると、大気中には塵が増え、結果として惑星は冷えていきます。

今回の研究の主著者であり、英国気象庁とエクセター大学の研究者であるIan Boutle博士は、次のように述べています。

「地球と火星では、ダストストームは表面に冷却と温暖化の両方の効果をもたらしますが、一般的には冷却効果の方が勝っています。しかし、「同期自転」の惑星は状況が異なります。これらの惑星には永久の夜があり、そこでは温暖化効果が勝っているのです。対して、永久に昼の地域では冷却効果が勝っています。その効果は、極端な温度差を緩和して、惑星をより居住性の高いものにするのです」

こうしたダストの効果は、地球の気候に対しても大きな役割を果たしています。

研究チームは、最先端の気候モデルを利用して、地球サイズの太陽系外惑星に対してシミュレーションを行い、ダストの影響に寄って生命が維持できる環境が作られることを初めて示したのです。

赤色矮星を背景にした系外惑星の3つのシミュレーション。矢印が風、カラースケールが大気中の塵を示す。/Credit: Denis Sergeev/ University of Exeter

この研究は、これまで惑星の生命を支える環境が、太陽の代わりとなる恒星からの光エネルギーの量で決定されるという考えに対して、惑星大気に含まれる塵も重要な要因になることを示唆しています。

ただ、惑星を包む塵の存在は、その表面に生命がいるかどうかの調査を妨害する存在でもあります。

この点については、今後の研究で考慮しなければならない問題でしょう。

地球の気候を研究する最先端の技術が、遠方の居住可能惑星を調査するツールにもなるというのは、分野を超えた優れた研究成果です。

私たちが宇宙で孤立した存在なのか、それとも他にも生命は存在するのか、この研究はそんな疑問の答えにいずれ光を当ててくれるかもしれません。

この研究は、エクセター大学、英国気象庁、イースト・アングリア大学(UEA)の研究チームより発表され、論文は自然科学全分野を扱うオープンアクセスの学術雑誌『Nature Communications』に6月9日付で掲載されています。

Mineral dust increases the habitability of terrestrial planets but confounds biomarker detection
https://www.nature.com/articles/s41467-020-16543-8

宇宙誕生から約10億年「星が1つもない暗黒時代」を観測する計画 

reference: phys,University of Exeter/ written by KAIN
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