ゴムの木に刺さった石が”アボリジニ文化の根強さ”を示す

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Credit:Caroline Spry
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  • オーストラリアで石が埋め込まれたゴムの木が発見される
  • この奇妙な木はアボリジニ文化の痕跡だった
  • アボリジニ文化が抑制されていた時代の痕跡であり、アボリジニ文化の持続性と回復力を明らかにする

最近オーストラリア、ニューサウスウェールズ州のウィラジュリで石が埋め込まれた奇妙なゴムの木が発見され、ラトローブ大学の考古学者キャロライン・スプライ氏らによって調査されました。

明らかに人為的な介入の見られるこの木は、アボリジニの人々によって作られた可能性があります。

この発見は、白人による同化政策の中でもアボリジニ文化が根強く続いていたことを示すものとなりました。

アボリジニ文化の痕跡

Credit:Figure 236 from Robert Brough Smyth 1878 ‘The Aborigines of Victoria’, Volume 1) Wikisource

アボリジニとはオーストラリア大陸の先住民であり、現在では「オーストラリア先住民」とも呼ばれています。

彼らの文化的慣習の痕跡は、現代のオーストラリアの樹木にみることができます。

アボリジニの人々は長い間、樹皮や木を様々な用途に用いてきました。例えば、カヌーや器、盾などを作ったり、食料資源を入手したり、儀式や埋葬場所の目印をつけたりしました。

そのため、周囲の木には当時の活動の痕跡や加工跡が残っています。もちろん、時間が経つにつれて、それらの痕跡は新しい樹皮に覆われてしまうものです。

ですから、現在ではそれらの文化跡を見過ごすことが多く、開発・山火事・自然衰退により、数自体も減少しています。

石が埋め込まれたゴムの木

最近、前例のないユニークなゴムの木が発見されました。

その木には大きな傷跡があり、その傷跡にはアボリジニの石器と思われる石が埋め込まれていたのです。

Credit:Caroline Spry

アボリジニの人々は樹木から樹皮や木材を取るために様々な石器を使用したようです。しかし、これらの道具が木に埋め込まれていた例はありません。

それで研究者チームは3Dモデリング、顕微鏡分析、放射性炭素年代測定などの様々な手法を用いて傷跡と石器の起源を調査しました。

その結果、傷跡はアボリジニが樹皮を取り除くときに生じたものに近いと分かりました。また、埋め込まれていた石に残った残留物や摩耗パターンから、それらがアボリジニの技術によって作られた石器だと判明したとのこと。

その石器は樹皮を削るために用いられたのかもしれませんし、印として木に埋め込まれたのかもしれません。

アボリジニ文化の継続性を示す

また、この樹木自体が比較的若く、石器が埋め込まれたのは1950年から1973年の間だと分かりました。

この結果は調査チームにとっては予想外のものでした。

なぜなら、当時は同化政策(白人社会に同化させる政策)などが行われており、ゴムの木が発見されたウィラジュリ地域でもその文化は奨励されていなかったからです。

また、当時のウィラジュリ族も文化の公開を警戒していました。

ですから、調査チームはウィラジュリで見つかった文化的痕跡がもっと昔のものだと考えていたのです。

しかし、見つかったゴムの木と痕跡は、文化が抑制されていた時代でもアボリジニ文化が根強く継続していたことを明らかにしました。

再現されたゴムの木の3Dモデル/Credit:Caroline Spry

ただし、現段階でもいくつかの謎は残ったままです。

ゴムの木が見つかった地域では石器が比較的使われておらず、石器が残される可能性は低いのです。

石器を使ったものの、たまたま木から取れなくなったのかもしれません。

もう1つの可能性は、この石器が何らかの象徴としてこの木に意図的に埋め込まれたというものですが、その意図は分かりません。

この謎は完全に解明されないかもしれませんが、今回の発見と研究はアボリジニの知識と文化の継続性と回復力を明確に示すものとなりました。

この研究は6月10日、「Journal Australian Archaeology」に掲載されました。

A twentieth century Aboriginal culturally modified tree with an embedded stone tool
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/03122417.2020.1769912?journalCode=raaa20

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reference: theconversation / written by ナゾロジー編集部
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