- 長い孤独は仲間に会いたいという欲求を減らし再開を苦痛にする
- 再開が苦痛になるのは会いたいと無意識に望んでいるから
- 会いたい気持ちが長時間満たされないと会いたい気持ちが脳にとってストレスになる
孤独でいると、はじめは人と会いたいという気持ちが高まりますが、あまりに長い孤独は、逆に人から会いたい欲求を奪うだけでなく、会うことに恐怖すら与えます。
この不思議な逆転現象は経験的によく知られていましたが、科学的には原因は不明でした。
そこでイギリスの研究者は、人間と同じように社会性の魚(ゼブラフィッシュ)を使って、長い孤独により社会性が失われるメカニズムを解明することにしました。
ゼブラフィッシュは社会性を持つ生物ですが、約10%の個体は生まれつき他の個体との接触を嫌う孤独癖を持つことが知られており、様々な角度から孤独を研究するには最適の生物なのです。
実験を行った結果、会いたい欲求を奪い、恐怖を与えるのは「欲求の変質」が原因だと判明します。
どのようなメカニズムが働いて、会いたい気持ちが変質してしまったのでしょうか?
同じ社会的動物でも個体差がある
会いたい欲求の謎を解明するために、研究者はゼブラフィッシュの脳にご褒美を与える報酬回路と、苦痛や恐怖を与えるストレス回路に着目しました。
上の図のように、ゼブラフィッシュの90%は仲間に会うことで報酬系が作動する一方で、孤独癖のある10%は報酬系が作動せず、仲間に会っても嬉しさを感じません。