スマホが原因? 若者の”セックス離れ”が米国でも確認される

life 2020/06/15
互いに無関心な都会のライフスタイル。/Credit:depositphotos
point
  • 調査研究の結果、米国の若い男性が性行為をしない割合は、過去20年間で増加していることがわかった
  • パートナーがいる場合でも、性行為の頻度が過去に比べて低下している傾向が見られる
  • スマホやSNSの普及や、低収入の男性の増加などが考えられるが、すべてを説明することはできない

「若者のセックス離れ」という話題は、日本固有の問題のように考えている人もいるかも知れませんが、これは世界的な傾向になっています。

米国で行われた調査では、過去20年間で性行為を1年以上まったく行わない人の割合が増加しているという結果が示されています。

これは「相手がいないからできません」というだけの問題ではなく、パートナーがいる人達でも、頻度が低下していることが示されています。

数年前には米国の若者は恋愛アプリの充実で、刹那的な肉体関係を結ぶ「フックアップ・カルチャー(一夜限りの出会い)」が増加している、と問題にされていたのですが、それは単なる思い込みだったようです。

新しい調査結果は、そうした話題を一掃してしまいました。

現代の若者は、一夜限りの出会いを求めるどころか、性行為に魅力を感じない人、億劫に感じる人たちの割合が増加しているようなのです。

どうしてそんな風になってしまったのでしょう? みんな一つになりたくないのでしょうか? そんな疑問に科学者たちは大真面目に取り組んでいます。

約20年に及ぶ性行為の調査結果

Credit:depositphotos

今回の研究では、全米を対象に行われた2000年から2018年の間の調査データが分析されました。

それによると、18歳から24歳までの男性の内、性行為をまったく行わない(性的不活動な)人の割合が19%から31%に増加していました

この研究でいう性的不活動とは、1年以上まったく性行為を行わない状態と定義されています。

25歳から34歳の人では、性的不活動の人は、男女ともに2倍(7%から14%程度)に増加しています。

また、性行為を行っていると答えた人たちも、その頻度は低下していました。

毎週性行為を行うと答えた人の割合は、全年齢で2000-2002年の60.4%から2016-2018年の46.7%に減少していたのです。

社会人口別に見た場合、収入の高い男性ほど性的活動は高く、低収入や無職の男性、また学生は性的に活動的ではない傾向が見られました

女性の場合、学生の間は性的不活動の傾向が高くなりましたが、雇用状態や所得レベルでは優位な関連は見られませんでした。

また、ポルノコンテンツの利用は、男女ともに、性的不活動の低下と優位な関連を示しました。

性的不活動は25歳から34歳の男女の間で増加していて、特に男性の場合は主に未婚の場合に増加傾向を見せました。

したい? したくない?

ケモノさえセックスしてるというのにお前らときたら…。/Credit:pixabay

こうした傾向は何を意味するのでしょうか?

今回の研究に付随論説を書いたTwenge氏は、これを最近の子供は思春期に入るのは早いが、大人になるまでに時間がかかっていると述べています。

それは性行為だけに限定される話ではなく、仕事を開始する時期、実家を出るかどうかなど、社会へ進出する全般的な開始時期が遅くなってきているというのです。

また、Twenge氏はミレニアム世代(2000年以降に社会進出した世代)の次の世代(彼はこれを「iGen」と呼ぶ)は、友人との付き合いについても意欲的ではない、と語っています。

iGenは、以前の世代が同年齢で行っていたあらゆることを、行う機会が少なくなっています。最近の若い大人は、ソーシャルメディアをチェックして、ゲームをし、メールやチャットの会話に多大な時間を消費しています。

彼らは余暇を、対面ではなく、スマホを使ったコミュニケーションに使っています。直接会わないのだから性行為が減るのは当然でしょう。

なにより、今の若い大人は、性的なパートナーを探すことより、Youtubeで動画を楽しみ、InstagramやTwitterに投稿して好評を得るほうが楽しいと判断しているのかも知れません。

それがTwenge氏の意見です。

実際、面と向かって会っているときでさえ、多くの人々はスマホの画面に夢中で相手のことを見ていません。

直接会っていてもスマホに連絡が来たらどうするでしょう? 当然相手は放置されます。会っていても心の距離は遠いのです。

カルフォルニア州のセックスセラピストのDe Villers氏も同意見を述べています。

「レストランでみんな一緒にいるのに、それぞれがスマホの画面を覗き込んでいる光景は本当にショックです」

Credit:depositphotos

主任研究者であるスウェーデンのカロリンスカ研究所 Peter Ueda博士は「性的に活動的な人々の頻度減少と、全く成功をしない人たちの増加は区別する必要がある」と述べています。

性的に活動的で頻度が低下した人たちは、彼らの優先順位や趣味などとの関係を反映している可能性があります。

一方で性的に不活動な人たちは、そもそも性的に親密な関係を得られないという問題を反映している可能性があります。

傾向から考えられるのは、性行為以外の楽しみが増えたために、性行為の優先順位が下がるということと、そもそもパートナー探しを積極的に行わない人たちがいるということ。

また、収入面に不安があるために、積極的にパートナーを探せない人や、相手がいても先行きの不安からあまり性行為に意欲が湧かない人などがいるのかもしれません。

性行為は、人が生きる上での満足感や幸福感と密接に関連しており、性的関心の欠如がうつ病と関連しているという意見もあります。

近年は、無性愛(asexuality)という概念も流行しています。これは他者に性的な関心や魅力を感じないことを指していて、主にいい意味で使われる傾向があります。

しかし、それは単に多くの人が性行為を、人生の追求を妨害する面倒事と捉えている証かもしれません。

多くの若者が、性的なエネルギーのピークとなる時期に、性行為をしないのは全く良いことではないという議論があります。

一方で、本人が満足しているのであれば、性行為の有無は人生の良し悪しを評価する材料ではないという意見もあります。

人間は1人では生きていけない、と言いますが煩わしい人間関係ほど邪魔なものもないでしょう。

性行為よりソーシャルメディアでいいね! をもらうほうが快感が大きいなら、もはや性行為は人との関係の中で不要なものなのかも知れません。

この研究は、スウェーデンのカロリンスカ研究所 Peter Ueda博士を筆頭としたチームより発表され、論文は6月12日付で、米国医学協会が発行するオープンアクセス医学ジャーナル「JAMA Network Open」に掲載されています。

Trends in Frequency of Sexual Activity and Number of Sexual Partners Among Adults Aged 18 to 44 Years in the US, 2000-2018
JAMA Network Open (2020). 10.1001/jamanetworkopen.2020.3833

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reference: medicalxpress/ written by KAIN
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