史上初、火星での「大気光」の観測に成功!「大気層がグリーンに発光」

space 2020/06/19
イメージ図/Credit: European Space Agency
point
  • 火星の昼側での「大気光」の観測に初成功
  • 太陽光と酸素の相互作用により、火星の大気層が緑色に発光する

ベルギー・リエージュ大学およびESA(欧州宇宙機関)により、緑色に発光する火星の大気層の観測に初めて成功しました。

これは太陽光と酸素の相互作用による「大気光(airglow)」という現象で、地球の一部上空でも見られるもの。

天文学者たちは、「大気光は火星でも起きている」と40年前から主張していましたが、実際に確認されたのは今回が初めてです。

また、大気光は一見するとオーロラに似ていますが、メカニズムは違うとのこと。

一体、どんな現象なのでしょうか。

地球の大気層は常に光っている

オーロラは、太陽風により飛んできた荷電粒子が、大気圏中の原子をイオン化させることが原因で発生します。

これに対し、大気光はオーロラより明るさが微弱で、太陽光と大気との間の相互作用によって発生し、大きく分けて2パターンに分類されます。

一つは「夜光」と呼ばれるもので、日中の太陽放射によりバラバラになった原子たちが夜間に再び結びつくことで、光エネルギーを放出します。

地球で見られた大気光(ISS撮影)/Credit: European Space Agencyもう一つは「昼光」。今回火星で見られた大気光はこちらです。

昼光は、文字通り昼間に発光するので、夜光より観測が困難です。発生メカニズムは、大気中の分子が昼間に太陽光を吸収することで生じます。

こうした発光作用が大気中で常に生じているため、地球の空は夜でも完全には暗くなりません。幅広い波長で微弱な光を放っているので、地上の光害や星の光などを消したとしても明かりは残るそうです。

火星で初観測に成功!

今回の火星の発光現象は、ESAが主導する火星探査計画「エクソマーズ」の中で発見されました。

観測に使われたのは、2016年に打ち上げられた火星周回探査機「トレース・ガス・オービター(TGO)」です。

先ほど話したように、大気光がそこまで明るくないので、観測は角度が重要になります。

研究チームは、地球の大気光の撮影に成功しているISS(国際宇宙ステーション)に学んで、「火星を真下に見下ろす観測位置」から「火星の大気圏を横切って地平線が見えるような観測位置」に変更しました。

オーストラリア上空、ISSによる撮影/Credit: ja.wikipedia

観測は、昨年の4月24日〜12月1日の間に行われ、高度20〜400キロの範囲で火星の大気圏のデータが採集されています。

そして、データを分析した結果、可視光と紫外線の両方で、緑色に発光する昼光が見つかったのです。

高度80キロあたりが一番明るい/Credit: nature

明るさは、火星〜太陽間の距離の変化に応じて変化しており、高度80キロ付近で最も強く発光していました。

また、発生プロセスの分析では、地球における大気光と似ていることも分かっています。

太陽光が火星の大気層に当たることで、二酸化炭素が一酸化炭素と酸素に分裂し、その後、酸素と太陽エネルギーとの反応で緑色に発光していたようです。

研究主任のジャン・クロード・ジェラール氏(リエージュ大学)は「今回の成功により、地球以外の惑星での大気光研究に進展が期待される」と話しています。

 

研究の詳細は、6月15日付けで「Nature Astronomy」に掲載されました。

Detection of green line emission in the dayside atmosphere of Mars from NOMAD-TGO observations
https://www.nature.com/articles/s41550-020-1123-2

水平方向に広がる「新種のオーロラ」が発見される

reference: sciencealertphys.org / written by くらのすけ
ナゾロジーは、科学と「不思議な現象」の狭間にある「謎」をお伝えするニュースメディアです。
宇宙、素粒子、AI、遺伝子、歴史、心理学など、様々な角度から身近な「謎」を追求しています。
Nazologyについて
記事一覧へ
あわせて読みたい

SHARE

TAG