生命の起源を発見? 惑星科学的視点、鍵はワイン造り

chemistry 2018/04/10
Credit: MIT

生命の起源を考えるとき、生命の材料となる有機物の起源を考えることになります。私たちを形作っている、タンパク質や核酸、脂質の起源はどこから来ているのでしょう。MITの惑星科学の研究者が、生命が誕生した時期に、浅い湖や水たまりに豊富な量の亜硫酸や亜硫酸水素が溶け込んでいたことを発見しました。この条件で化学反応が起こると、生命誕生に必要な生化学物質の合成が促進されるそうです。そしてこの発見の鍵となったのは、なんとワイン造りでした。

2015年、ジョン・サーザランドに率いられたケンブリッジ大学の化学者たちが、生命に必須の分子であるRNAの前駆物質の合成法を発見しています。この方法で必要な材料は、シアン化水素と硫化水素、そして紫外線です。これらの物質は生命誕生前の地球上で存在していた物質ですが、本当に地球上でこういった物質が豊富で利用可能だったのかという、惑星科学的視点からは疑問が残っていました。

Credit: Pixabay

シアン化水素は定常的に降り注ぐ彗星によって、十分な量が供給されます。しかし、硫化水素は火山の噴火でたくさん放出されるとはいえ、水に溶けにくいので十分な量供給されたかはわかりません。MITの地球惑星科学者のスクリット・ランジャンは、酸素のない大気の惑星で、二酸化硫黄が火山によって供給されるのかという疑問にヒントを得て、研究を開始しました。

まず生命が誕生した39億年前の地学的なデータを参照して、火山が生み出したガスの種類と濃度を算出。それから、こういったガスが浅い湖などに溶け込む度合いを計算する、簡単なモデルを作りました。面白いことに、このモデルを計算する時に使用した文献が、ワイン造りに関するものだったのです。ワインを作る際に、酸素のない状態で添加物として加える二酸化硫黄を溶け込ませる必要があるからです。

研究の結果、火山の噴火で二酸化硫黄と硫化水素の両方が大量に放出されたことがわかりました。しかし、浅い水中に容易に溶け込んだのは、二酸化硫黄の方でした。溶けた硫化物イオンは、亜硫酸や亜硫酸水素の形で大量に水中に溶け込みます。以前の研究で、亜硫酸および亜硫酸水素と硫化水素を比べた場合どちらがRNAや関連する分子を生み出しやすいかの化学実験を行っています。その結果は、亜硫酸及び亜硫酸水素のほうが10倍早く、産出量も多かったのです。これらの研究から、生命の誕生した時期に存在した環境で、生命の重要な構成物質であるRNAが合成されたことが示されました。

この研究はまた、様々な分野に及ぶ研究が、相互に協力することで今までにない発見がもたらされることを表しています。もっと色んな分野の研究が組み合わされて、新しい発見がされることを期待しましょう。

 

via: MIT News/ translation & text by Nazology staff

 

関連記事

生命誕生の鍵を握る化合物を発見(米研究)

生命の宇宙起源説に新展開! 宇宙環境のシミュレーションで有機化合物が発生

生命は宇宙から来た? 惑星から惑星へ宇宙ダストが生物粒子を運ぶ可能性

宇宙人が見つからない理由が明らかに? 原因は「リン」

SHARE

chemistryの関連記事

RELATED ARTICLE