バーチャル人体モデル「THUMS」が無償で一般公開される

technology 2020/06/20
Credit:toyota
point
  • 高精度のバーチャル人体モデルが2021年から無償提供される
  • バーチャル人体モデルを用いた自動車衝突シミュレーションは、より安全な車両開発に繋がる
  • 各ユーザーはバーチャル人体モデルを改良・共有できる

自動車の運転には危険がつきものですが、トヨタ自動車は運転手の安全を守るために日々開発を進めています。

そして今回、トヨタ自動車は安全検証に役立つバーチャル人体モデル「THUMS(サムス)」を2021年1月より無償で公開すると発表しました。

骨格から内臓まで正確に再現されたTHUMSを使用するなら、コンピューター上で容易に精度の高い衝突シミュレーションが可能になります。

バーチャル人体モデルTHUMS(サムス)とは

Credit:toyota

これまで自動車の衝突安全試験にはダミー人形が利用されてきました。現在でも広く活用されています。

ただし、このダミー人形によるテストは実際に自動車を衝突させなければならないため、コストや時間の面での課題を抱えていました。

そこで生み出されたのがバーチャル人体モデルTHUMS(Total HUman Model for Safety)です。

THUMSは人体の骨格・脳・内臓・筋肉など人間の形状や肉体強度を正確に再現したモデルとなっています。

このモデルをコンピュータ上で衝突シミュレーションさせることにより、衝突試験にかかる時間と費用を大幅に抑えることができるのです。

内蔵へのダメージが分かります/Credit:toyota

現在、THUMSはVersion 6まで存在しています。歩行者モデルと乗員モデルに分かれているため、姿勢の変化による内臓や骨格への影響の違いを検証できます。

また、それぞれのモデルには様々な年齢・性別・体格が用意されています。

加えて乗員モデルは「身構え状態」「リラックス状態」など運転時の筋肉の状態を指定でき、損害の程度や違いを詳しく調査可能とのことです。

THUMS無償提供が見せる可能性

Credit:depositphotos

トヨタ自動車によると、現在THUMSは100以上の国内・海外の自動車メーカー、部品メーカー、大学、研究機関で研究・開発に利用されているそうです。

今後THUMSが無償提供されるなら、トヨタ自動車とは直接関わりのない多くの研究機関の開発が促進されることでしょう。

先進技術開発カンパニー・フェローの葛巻慎吾氏は、「今回、THUMSの無償公開に踏み切ったのは、より多くのユーザーにご活用いただき、自動車業界全体でのクルマのさらなる安全性向上、そして交通事故死傷者ゼロの安全な社会の実現の一助になれば、との思いが強いからです」と語っています。

また無償提供されるTHUMSは、ユーザー自身が改良を加えて他のユーザーと共有することも可能とのこと。

Credit:toyota

これにより、THUMSが活躍する分野が爆発的に広がると予想されます。電車や航空機などの安全性向上はもちろんのこと、コンピューターモデリングや学習方面でも活躍するかもしれませんね。

自動車業界の最先端を走ってきたトヨタ自動車。彼らの技術は、分野を超えて世界中に影響を与えることでしょう。

この発表は6月16日、「TOYOTA」公式サイトに掲載されました。

トヨタ自動車、バーチャル人体モデル「THUMS」を無償で公開
-車両衝突時の傷害解析への活用普及を通じ、クルマの安全性能向上に貢献-
https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/32665864.html

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reference: toyota / written by ナゾロジー編集部
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