X線だけで見た「天の川銀河の全天マップ」が作成される! 60年間蓄積した観測データと同じクオリティ

space 2020/06/22

ドイツおよびロシアの共同研究チームにより、X線だけで捉えた天の川銀河の全天マップ画像が公開されました。

撮影は、両国が開発した宇宙望遠鏡「Spektr-RG」に搭載されているX線観測装置「eROSITA」によるものです。

上の画像は、eROSITAが採取した膨大なデータを統合したもので、先週に完成したばかり。

ここには、100万を超えるX線の光源データが記録されており、60年の歴史を誇るX線天文観測史で得られたデータ量とほぼ同じだそうです。

マックス・プランク地球外物理学研究所(独)のキルパル・ナンドラ氏は「このデータ量は驚くべきもので、X線観測史に革命を起こす成果となるでしょう」と話します。

銀河の状態が一目でわかる

Spektr-RGは、昨年7月13日に打ち上げられたばかりで、地球から約150万キロの地点から観測を続けています。

完成したマップは、天の川銀河の全天を楕円形で展開した「エイトフ投影法」が採用されました。

マップは、各地点にどんな天体があり、何が起こったかをすぐ理解できるよう色分けされています。

例えば、青は高エネルギー(1〜2.3keV)、緑は中エネルギー(0.6〜1keV)、赤は低エネルギー(0.3〜0.6keV)のX線です。

色の違いは、宇宙の激しい活動の跡を示しています。

銀河の中心部はマップの真ん中に位置し、中央を横切る青い帯が天の川です。マップを見ると、天の川は青色の高エネルギーを放っているのが分かります。

これは大量のチリやガスが、低エネルギーの放射線を吸収し、ろ過して取り除いた結果だそう。

また、周囲の緑と黄色の部分も高エネルギーを放つ高温ガスに占められています。これらは天の川銀河の形成と進化のプロセスを知る重要な物質です。

超新星爆発の残骸

それから、天の川の右端に見える黄色の部分(Vela SNR)は、地球から800光年の場所にある「ほ座(Vela)」超新星残骸を示します。

星の爆発が、周囲を取り巻くチリやガスを加熱したことで強く発光しています。

また、マップの上下に薄く広がる赤い部分は、銀河のはるか遠方から来る高温ガスのX線放射です。ところどころに見られる白い斑点は、超巨大ブラックホールを示しています。

しかし、マップに見られるブラックホールの約8割は、天の川銀河内ではなく、他の銀河の中心部にあるものです。ブラックホールは、その強大な引力によって物質が吸い込まれたり、噴出されたりすることで強いX線を放出します。

このような全天マップは、宇宙望遠鏡のデータを改良して、観測の妨げになるノイズや人工物を排除し、宇宙のより深部まで感度を高めることで、これまでは検出できなかった微弱な光源の検出に役立つことが期待されています。

研究チームは、年内に2回目の全天マップ作成を開始し、今後3年半で計7つの銀河について同じ作用を行う予定です。

宇宙誕生から約10億年「星が1つもない暗黒時代」を観測する計画 

reference: bbccbsnews / written by くらのすけ
ナゾロジーは皆さんの身近にある”素朴な疑問”を解決する科学情報メディアです。
最新の科学技術やおもしろ実験、不思議な生き物を通して、みなさんにワクワクする気持ちを感じてもらいたいと思っています。
Nazologyについて
記事一覧へ
あわせて読みたい

SHARE

TAG