前例のない「ブラック中性子星」を発見! ブラックホールと中性子星のハーフ?

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と合体したのは…?/Credit: LIGO/Caltech/MIT/R. Hurt (IPAC)
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質量の大きな星は、寿命を終えると超新星爆発を起こします。

そこで残った芯の重さが太陽の2倍程度なら「」となり、質量がそれ以上なら重力崩壊が進み「」となります。

これまでに見つかった最も重いは太陽質量の約2.5倍で、最も軽いは太陽質量の約5倍でした。現在の理論モデルでは、それぞれが、のマックス値とのミニマム値の上限と言われています。

と同時に天文学者たちは、数十年の間、「この質量差の間を埋める天体があるのではないか」と考えていました。

そして今回、「LIGO(レーザー干渉計重力波天文台、米)」と「Virgo(ヨーロッパ重力観測所、伊)」の観測により、両者の中間に位置する、太陽質量2.6倍の天体がついに発見されたのです。

正体はまだ分かっておらず、現時点では、のハーフを示す「ブラック(Black neutron star)」と呼ばれています。

最大or最小の記録を更新

太陽質量23倍のと合体した(イメージ図)/Credit: N.FISCHER AND COLLEAGUES

この天体は、観測史に前例がなく、既知の天文学を書き換える可能性を秘めています。

その存在が初確認されたのは、2019年8月14日。

観測では、太陽質量2.6倍のその天体が、連星系のパートナーである太陽質量23倍のと合体する様子が確認されたとのことです。

衝突の影響で、合体した一部が強力なエネルギーを放ち、それが重力波の形でキャッチされました。

重力波が観測できるのは、以下の場合です。

Credit: KAGRA(大型低温重力波望遠鏡)

パルサーの一種と言われているので、謎の天体は、のどちらか一方ということになります。

しかし、いずれにせよ、「最も重い」と「最も軽い」の記録を更新したことに変わりありません。

結局、両者は合体後、太陽質量25倍のとなっています。

追観測では発見できず

天体の存在は、発見後すぐに世界各地の天文研究所に報告され、数十の地上および望遠鏡を用いて追観測が行われました。

しかし、何らの光信号も確認できていません。これには3つの理由が考えられます。

1つ目は、観測対象があまりに遠すぎたことです。謎の天体との位置は、地球から8億光年も先にありました。

2つ目は、謎の天体がである可能性です。なら、衝突時に何らかの光を放ちますが、同士だと光は出ません。

3つ目は、両者の質量差が大きすぎたことです。天体がだったとしても、ラックホールとの質量差は9倍あります。これでは、の光が簡単に飲み込まれてしまうのです。

まるで「パックマンが小さな点を一口で食べるようなものだ」と研究員は述べます。

既知の(青)と(黄)のサイズ、縦軸の数字は太陽質量の何倍かを示す/Credit: LIGO-VIRGO

また、重力波が観測された天文現象において、今回の衝突は過去最大の質量差でした。

研究チームは「このような極端な質量差のある天体同士の合体は、現在知られる理論モデルでは不可能です。同様の現象は、私たちが予想する以上に頻繁に起こっている可能性があり、今後の研究課題となるでしょう」と述べました。

謎の天体はすでにの一部となってしまいましたが、正体の解明も含め、今後も調査は続きます。

研究の詳細は、6月23日付けで「The Astrophysical Journal Letters」に掲載されました。

GW190814: Gravitational Waves from the Coalescence of a 23 Solar Mass Black Hole with a 2.6 Solar Mass Compact Object
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ab960f

X線だけで見た「天の川銀河の全天マップ」が作成される! 60年間蓄積した観測データと同じクオリティ

reference: scitechdailybbc / written by くらのすけ
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