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中国で新型豚インフルエンザウイルスがヒトにも感染すると判明! 「ヒトからヒトへの感染は未確認」

2021.01.27 Wednesday

2020.07.01 Wednesday

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  • 新型の豚インフルエンザウイルス(G4ウイルス)が中国の養豚場で発生した
  • G4ウイルスの豚からヒトへの感染も確認された
  • 人類をG4ウイルスから救うには豚へのワクチン処理が必要

アメリカと中国の研究チームは、中国全体に広がった新型豚インフルエンザウイルス(G4ウイルス:G4 EA H1N1)を特定し、新たなパンデミックの可能性があると発表しました。

このG4ウイルスはヒト型受容体に結合し、ヒト気道上皮細胞で高い増殖率を示します。

またG4ウイルスは既存のインフルエンザワクチンが効きにくいことから、人類の大半はG4ウイルスに対する集団免疫力を持っていない可能性が高いとのこと。

さらに血清調査では、中国の養豚場労働者の10.4%がG4ウイルスの検査に陽性であることが判明しました。

G4ウイルスは現在、ブタからヒトへの感染のみが見られ、ヒトからヒトへの感染は確認されていませんが、豚飼育場の近隣住民にも感染者が出始めています。

G4ウイルスとはどのようなウイルスなのでしょうか。

G4ウイルスは2016年に現れた新型であった

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Gウイルスは複数の種に感染していたウイルスの混合型の一種である/Credit:PNAS

21世紀になってから、インフルエンザはたびたびパンデミックを起こしています。

特に2001年のパンデミックでは6億人の感染者が発生しました。

そのため研究チームはウイルスの発生源として疑われている豚から、2011年から2018年の間に3万個のサンプルを採取して分析を行っていました。

中国の養豚場や動物病院にいた豚からサンプリングが行われたのですが、これは中国に全世界で飼われている豚の半数が存在していると知られているからです。

その結果、179種類の豚インフルエンザの存在が確認され、そのうち165種がユーラシア鳥インフルエンザA(EA H1N1)型であることがわかりました。

これは、中国の豚集団で流行している主なウイルス型が、既知の鳥インフルエンザAであることを示します。

しかし2016年以降は様子が異なり、豚集団でG4ウイルス(G4 EA H1N1)と命名された新型のインフルエンザウイルスの発生が確認されたそうです。

研究チームはそのG4ウイルスが生き物にどのように影響するかを確かめるため、ウイルスをヒトの培養細胞とフェレットに感染させて経過を観察しました。

結果、G4ウイルスは2001年に6億人に感染したインフルエンザといくつかの共通する特徴があることがわかりました。

G4ウイルスは動物のSAα2,6Gal受容体に結合する能力を持ち、ヒトの気道上皮細胞で爆発的に増殖するだけでなく、フェレットどうしの間では高い伝染性(空気感染)が確認されたのです。

そのため研究チームは、養豚場の労働者300人に対してGウイルスの感染によって作られる抗体の有無を判定する検査を実施しました。

結果、養豚場労働者の10.4%が抗体を持っていることが分かりました。

また、現在G4ウイルスのヒトからヒトへの感染は確認されていませんが、養豚場の近隣に住む住民にも感染歴があったため警戒が必要です。

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