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ブラックホールの1日の食事量は太陽1個分! 急成長のナゾに迫る

2021.01.27 Wednesday

2020.07.03 Friday

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初期宇宙のクエーサーのイメージ 。画像は「J1120+0641」を描いたもので今回の研究とは異なる。/Credit:ESO/M. Kornmesser
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  • 太陽質量の340億倍という超大質量ブラックホールの食事量が明らかになった
  • このブラックホールは初期宇宙にあり、1日に太陽1個分に相当する質量を貪り食っている
  • 宇宙誕生から12億年という期間で、これほど巨大なブラックホールが形成される原理は依然不明

1日の食事の量は大きな生き物ほど大量になっていきます。

動物園のサイトなどを除くと、ゾウは1日に200kg近い食事をし、キリンは70kg近い食事をすると書かれています。

こういう素朴な話でも結構驚きですが、では超大質量ブラックホールの1日の食事量はどのくらいでしょうか?

ブラックホールはもちろん生き物ではありませんが、天文学の話題では、なんでも貪るように吸い込むブラックホールは暴食モンスターとしてよく表現されます。

「SMSS J215728.21-360215.1(略称:J2157-3602)」は、太陽の340億倍という質量を持つモンスターブラックホールです。

新たな研究では、このモンスターが一体1日にどのくらい食事をするのかを調査しました

それによると、なんとこのブラックホールは1日に太陽1個分もの物質を飲み込んでいるというのです。

宇宙のモンスターはまさに桁違いです。

初期宇宙の超大質量ブラックホール

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クエーサーの中心活動銀河核のイメージ。/Credit:ESO

超大質量ブラックホールというカテゴリーは、太陽の100億倍以上の質量を持つブラックホールに対して使われます。

「J2157-3602」は太陽の340億倍という質量があり、超大質量という呼び名に相応しいブラックホールです。

このブラックホールは、地球から125億光年という距離に見つかりました。

これは宇宙誕生(ビッグバン)からおよそ12億年程度の宇宙にすでに存在していたことを意味しています。

ブラックホールは星の崩壊から生まれ、融合や天体を飲み込むこと進化成長していくというのが現行理論での考え方です。

この考え方でいくと、年齢が現在10%程度しかなかった宇宙に、これほど巨大な超大質量ブラックホールが存在した理由は説明ができません。

そのため、我々の宇宙の観測の仕方や遠方宇宙の解釈に決定的な誤りがあるか、ブラックホールの形成理論が不十分ということになります。

ブラックホールの形成進化について、我々が十分に理解できていないとなると、それはひたすら特殊な天体を観測してその特性を見極めていくしかありません。

「J2157-3602」はクエーサーに分類される天体であり、その中心核です。そして既存のクエーサーの中でももっとも強力で、もっとも急速に成長しているブラックホールの1つでもあります。

今回の研究は、このモンスターブラックホールを対象にして、どのように急成長しているかを調査したのです。

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