SNSとして世界最大のシェアを誇るフェイスブックに近年、闇市場の魔の手が広がっています。
そこで売買されているのは、なんと人の遺骨。
遺跡から盗まれたものや出所不明の遺骨が多数出回っており、秘密裏に取引されているのです。
これについて、アメリカの科学ニュースサイト「ライブ・サイエンス」の記者は、人骨が売買されるフェイスブック・グループに約10ヶ月潜入し、闇市場の実態を調査しました。
歴史的に貴重な遺骨も売買されていた
取引される人骨のほとんどは出所不明ですが、中には遺跡から盗んできたことを堂々と記載しているものもあります。
例えば、550ドルで売りに出された頭蓋骨は、アメリカ人コレクターが、北アフリカ・チュニジアの都市スースにあるカタコンベに侵入して、盗んできたものでした。
こうした行為は完全に違法であり、また歴史的な損失も大きいです。
特に、スースのカタコンベは、初期キリスト教徒1万5000人以上の遺骨が保存されている貴重な場所。今から2000年ほど前のスースは、古代ローマ帝国に支配されており、キリスト教は異端として迫害されていました。
その際、キリスト教徒たちは、秘密の会合場所として地下のカタコンベを使用したのです。つまり、この場所は初期キリスト教徒たちの活動の証拠が保存されている、歴史的に重要な遺跡なのです。
遺骨や遺物が盗まれると、歴史の物語に穴を開けることになります。
頭蓋骨を密売したコレクターはワシントンを拠点にしており、他にも多数の人骨を売りに出していました。ライブ・サイエンスは、人骨に興味がある風を装って、コンタクトを取ってみたものの、質問には答えず、売買の投稿も削除されています。
しかし、彼らのようなバイヤーは、氷山の一角に過ぎません。