あらゆる生命の源「炭素」はどのように宇宙に誕生したのか?

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Credit:pixabay
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  • 炭素の起源については、現在重い星の超新星爆発と、軽い星の恒星風という2つの説がある
  • 新たな研究は、散開星団に含まれる白色矮星の質量測定から、炭素は軽い星が起源とした
  • 炭素は太陽の1.65倍以上の質量の星で生成され、恒星風によってゆっくりとにまかれていく

私たち生命を作り出すために欠かせない元素「炭素」は一体どの様にで誕生し、原初の太陽系にやってきたのでしょうか?

鉄以下の元素は、通常恒星の核融合によって生み出されています。

炭素(原子番号6)は3つのヘリウム(原子番号2)の核が融合して生み出されます。

この炭素の起源については、現在天文学者の間でも意見が分かれていて、重い星で生成され超新星爆発によってにばらまかれる、という説と、軽い星で生成され恒星風によって飛ばされてくるという説が存在しています

この2つの説については、これまで決め手となる証拠は見つかっていませんでした。

しかし、新たな研究は天の川銀河の散開星団に含まれる白色矮星の質量測定から、初期の太陽系に炭素をもたらしたのが、軽い星の恒星風である可能性が高いことを示しています。

これは私たち生命の根本的な起源や、星の進化を探る上でも重要なテーマです。

散開星団の白色矮星に見つかった奇妙な質量のねじれ

カシオペア座方向8000光年の位置にある散開星団NGC7789。/Credit:Guillaume Seigneuret,NASA

銀河の星々は一様に分布しているわけではなく、ところどころに集まって星団を形成しています。

この星団には散開星団と球状星団という2つの種類が存在します。

散開星団は、同じ巨大分子雲から生まれた星の兄弟たちで、同じ様な年齢の数千の星が互いの重力の影響で1カ所に集まっているものです。

こうした散開星団の観測では、星の進化論を利用することで、星団内の星の初期の質量を推定することができます。

合わせて散開星団内の白色矮星の質量を観測すれば、星の誕生時から死亡時までの質量の関係を見ることができるのです。

これを初期-最終質量関係(IFMR:the initial-final mass relation)といいます。

この関係性は、だいたいのどこを見ても同じで、誕生時の質量が大きい星は、死んで残った白色矮星の質量も大きくなるという直線的な関係が見られています

今回の研究チームは、2018年ハワイのマウナケア火山頂上にあるケック天文台が観測した、散開星団の中にある白色矮星の初期-最終質量関係を分析しました。

すると、これまで見たことのない奇妙な結果が現れたのです。

誕生時の星の質量を推定した場合、私たちの銀河系に約15億年前に生まれた星は、太陽質量の0.60~0.65倍の白色矮星になると予想されたのに、観測された白色矮星の質量は太陽の0.70~0.75倍というかなり大きい残骸だったのです。

これはきれいな直線を描くはずの初期-最終質量関係の中に、ねじれた波紋が生じているという結果でした。

星の最後

星は質量によってその最後の運命が決まります。

太陽の8倍以上の質量を持つ星は、最後超新星爆発を起こして終わります。

しかし、太陽質量の8倍より軽い星は、晩年大きく膨らみ、中心核から離れた外層は星の引力を逃れて恒星風となって空間へ流出していきます

このとき、流れ出した星の外層はガスとなって星を包み、惑星状星雲という状態を作ります。

惑星状星雲。残された中心核が白色矮星になる。/Credit: NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA); Acknowledgment: Dr. Raghvendra Sahai (JPL) and Dr. Arsen R. Hajian (USNO)

太陽質量の2倍程度の星は、この人生最後の段階で、高温の中心部で炭素原子を生成して外層へと運び、それは穏やかな恒星風によって星間へと拡散させていきます。

今回の研究では、この炭素の豊富な外層の剥離が、非常にゆっくりと行われた場合、白色矮星の中心核は予想されるよりも質量を大幅に増加させていくことになるとわかったのです。

散開星団に見られた予想より質量の大きい白色矮星は、このプロセスによっての炭素濃縮に貢献していた証拠だったのです。

さらに初期-最終質量関係から、今回の白色矮星の質量増加を分析したところ、太陽質量の1.65倍以下の星はこうした炭素生成のプロセスを行っていないことがわかりました。

つまり太陽質量の1.65倍という質量は、その星が銀河に炭素をもたらす最小質量だったのです。

これは生命の源となる炭素の起源を示すだけでなく、と恒星の進化についても非常に興味深い発見となります。

遠い銀河の中にある死にかけた星の光の中には、こうした生成された炭素のサインを発見できるかもしれません。現在大型望遠鏡は、そんな構造の進化を探る光の収集を毎日行っています。

この研究は、イタリアのパドヴァ大学の研究者Paola Marigo氏を筆頭とした国際研究チームより発表され、論文は天文学の学術雑誌『Nature Astronomy』に7月6日付で掲載されています。

Carbon star formation as seen through the non-monotonic initial–final mass relation
https://www.nature.com/articles/s41550-020-1132-1

【驚愕】寿命を迎えた巨大な星がこつ然と姿を消した!? 超新星爆発なしでブラックホール化した可能性も

reference: phys ,JAXA宇宙情報センター/ written by KAIN
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