「今月の星の見どころ」特別版:ネオワイズ彗星が肉眼で見える!? 今から7月いっぱい要チェック

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現在、ネオワイズ彗星(C/2020 F3 (NEOWISE))が見頃です。

今年の3月に発見された彗星ですが、国立天文台の情報によると、7月8日時点で1~2等級まで明るくなっているのだとか!

肉眼で普通に観測が狙える明るさの彗星というと、1997年のヘール・ボップ彗星以来ではないでしょうか。

Credit: 国立天文台

7月半ばまで:明け方に彗星を観測しよう

彗星が太陽に近づく、今から14日頃までがネオワイズ彗星の最初の観測チャンス。日の出1時間前の明け方の空、北東の方角に出ています。

近くに「冬のダイヤモンド」を構成する、ぎょしゃ座の1等星「カペラ」があるので、目印にすると良いです。

ただし最高高度となる11日前後でも約8度ほどで、非常に低い位置に見えるため、かなりひらけた所で観測する必要があります

さらに厳しいのは、梅雨の時期なので全国的に雨が続いていますよね。

Credit: ofugutan AstroArtsの情報をもとに作成

7月半ば~下旬:夕方に彗星を観測しよう

でも、嬉しいことに次のチャンスがあります。15日以降は日の入り1時間後に北西の方角に見えると予想されていますよ。

また、だんだん高度が高くなり、位置的には条件がよくなってきます。

しかし、明るさはどんどん暗くなっていくので、ちょうどいいタイミングを逃さないようにしましょう。

15日頃の明るさは約2等級で高度は約9度と予想されているので、まだ厳しそうですが、20日頃明るさは約3等級になるものの、高度は約20度になると予想されています。

これなら肉眼で見えそうなレベルの明るさですし、高層ビルが多い都内でも現実的に挑戦できる高度です。一番狙い目の時期でしょうか。

25日頃には西北西の方角に移動します。明るさは約4等級になって肉眼で見るのは難しいですが、高度は約30度になると予想されているので、双眼鏡で狙うのは十分にアリです。この頃には、梅雨明けも期待できますね。

それに、目で見るのは厳しくても、カメラで撮影して、彗星の姿をとらえるという楽しみ方もありますよ。

目印は「北斗七星」と、春の大三角を構成する、しし座の2等星「デネボラ」を探して、その間を見ると良さそうです。

Credit: ofugutan AstroArtsの情報をもとに作成

観測のポイント

注意点としては、彗星の明るさを正確に予想するのは難しいので、言われていたより全然明るくならなかった…というのもよくある話。

反対に、今回のネオワイズ彗星のように当初の予想より明るくなったというケースもあるので、変化を楽しむくらいの気持ちでいるのがベストです。

最悪、最初の観測チャンスのときに彗星が太陽に近づいた際、消滅や分裂することもありうるので、何より生き残ることを祈りましょう。

また、高度が低いと街灯りで見えにくく、同じ等級でも彗星は星より見えづらいため、双眼鏡の用意は推奨です。

Credit: NASA/Johns Hopkins APL/Naval Research Lab/Parker Solar Probe/Brendan Gallagher

彗星ってどんな天体?

ネオワイズ彗星の観測をより楽しむために、彗星の知識を深めてはいかがでしょうか。

彗星は、本体の大きさが数キロメートルから数十キロメートルほどの小さな天体です。

細長い楕円形の公転軌道を描きながら地球のように太陽の周りをまわり、一定の周期ごとに回帰するものと、放物線や双曲線の公転軌道を描き、太陽に近づくのは1回のみで2度と戻ってこないものがあります。

前者は約76年ごとにやってくる、ハレー彗星が有名ですよね。

そして、海王星の外側にある、惑星になりきれなかった微惑星が円盤状に広がる「エッジワース・カイパーベルト」と、太陽から約1光年のところを球状に取り囲むとされる、氷の小天体が多い領域「オールトの雲」が彗星の故郷と言われています。

ネオワイズ彗星の場合は、放物線軌道に極めて近い潰れた楕円軌道で太陽の周りを公転していて、「オールトの雲」からやってきたとされています。

次回太陽の近くに来るのは6000年以上先、8786年頃と考えられていますよ。

Credit: 国立天文台

また、彗星の成分は8割が氷の状態の水で、そのほか二酸化炭素や一酸化炭素といったガスと微量のチリでできています。

よって、太陽に近づくと熱で表面が少しずつ溶けて、水分が蒸発するとともにガスとチリが放出されます。

このとき、淡く輝くように見えるため、彗星が太陽にもっとも近づいたときが明るく見える観測チャンスとなります。

でも、地球に近づいたときが物理的に距離が近くなるため、結果的に見えやすかったなんてこともあります。

ほかにも、彗星のサイズや成分の違いなども影響するので、地球からの彗星の見え方は予測が難しいのだそうです。

彗星の尾の秘密

彗星は別名「ほうき星」と呼ばれるくらい、「尾」が特徴ですよね。

彗星本体から放出されたガスとチリは「尾」を作りますが、2つの「尾」があるって知っていましたか?

1つは、ガスによって作られる細長い「イオンの尾」で、もう1つはチリによって作られる太い「ダストの尾」です。

「イオンの尾」は太陽風に流され「ダストの尾」は太陽光の圧力を受けるため、尾の方向がズレてしまうのだそう。

また、「ダストの尾」はサイズがばらばらなチリでできているため、圧力の受け方がさまざまなので、彗星の軌道面に広がった形になります。

Credit: 国立天文台

彗星といえば、「ティアマト彗星」がアニメ『君の名は』に出てきますよね。ある意味もっとも日本で有名な彗星かも……。

この「ティアマト彗星にも、しっかり2本の尾が描かれているので、『君の名は』を見たときには、それぞれの尾をチェックしてみてください。

ちなみに、「ティアマト」って、以前「変光星」の記事で出てきた、ペルセウスがアンドロメダ姫を救出する神話に登場する、「化け物クジラ(くじら座)」の名前なんですよ。人々に災いをもたらす存在として、名前が採用されたのかもしれませんね。

えっ!? 予想と逆に彗星が進んでる……!

ところで、「尾」という名称からも勘違いされがちなのですが、彗星はいつも進行方向と逆の方向に尾を出しているわけではありません。飛行機雲のようにお尻からジェット噴射しているっぽい絵面ではあるんですけどね。

「尾」は太陽の反対方向に伸びます。つまり下の図のような場合、地球から見て太陽に近づいていっているときは、進行方向と逆に尾が出ている「イメージ通り」ですが、離れていっているときは、尾が出ている方向に進んでいるように見えます。

ネオワイズ彗星が観測できたら、日々変化する尾の方向にも注目してみましょう。

Credit: ofugutan

ただし、例外もあります。地球と彗星の位置関係によって、「イオンの尾」と「ダストの尾」が彗星を挟み、太陽側と太陽と反対側の2方向に伸びて見えるときもあるのだとか。これは「アンチテイル」と呼ばれます。

これらの様子もネオワイズ彗星で確認できるかもしれませんね。なかなか彗星を肉眼で観測できる機会はないので、ぜひ挑戦してみましょう。

筆者も肉眼、双眼鏡、そしてカメラ撮影を行う予定です。来月の「今月の星の見どころ:8月」にレポートを掲載しますので、興味のある方はご覧になってください。

星のソムリエ®が選ぶ、今月の星の見どころベスト3【2020年7月】

Reference: 国立天文台(1, 2), AstroArts, Wikipedia, NASA / written by ofugutan

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