- 天然膝軟骨と同じ特性を示す人工軟骨ゲルがつくられる
- 人工軟骨ゲルは複数のポリマーの複合体であり、柔軟性と剛性を示す
- 現段階で10万回の引張試験と100万回の摩耗試験をクリア
身体の一部である膝軟骨は、柔らかいクッションと頑丈なバリア特性を両立させており、忙しなく動く脚部の関節を保護してくれる稀有な生物学的物質です。
当然ながら膝軟骨の人工代替品を見つけることは難しく、科学者たちの課題となってきました。
ところが最近、米国デューク大学の化学者ベンジャミン・J・ワイリー氏ら研究チームは天然膝軟骨の特性と一致する「人工軟骨ゲル」を開発しました。
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これにより、関節の機能を完全に回復させられるかもしれません。
人工軟骨の必要性
長年膝を使い続けるなら軟骨は擦り減っていき、関節に痛みを与えます。放置するなら膝は変形(変形性膝関節症)し、歩行すら困難になるのです。
軟骨は一度失われると再生しないため、変形性膝関節症の人は人工膝と交換する「膝関節置換術」を行うこともあるでしょう。
米国では毎年79万件を超える膝関節置換術が行われています。日本でも手術件数は年々増加しており、現在では年間9万件以上にも上るのです。
しかし、手術が成功したとしても数十年後には再交換しなければいけません。
そのため、軟骨の交換のみで済む「人工軟骨」の必要性は大きく、その開発は多くの人に恩恵をもたらすでしょう。