コスト課題を克服する「オーバーチュアー」
さて、XB-1のテストが成功するならオーバーチュアーへの道が開け、17年ぶりに「超音速旅客機」が復活することになりそうです。
人々の関心が高く、技術が向上してきたにもかかわらず、「超音速旅客機」に20年ほどの空白があったのはなぜでしょうか?
その原因はコスト面の問題にあります。
実は、数十年前のコンコルドもマッハ2を達成しており、最高速度だけみるとXB-1に負けていません。そのための莫大な開発費用は大量生産によって回収できるはずでしたが、実際に製造されたのはたったの20機だけでした。
それもそのはず、当時のコンコルドのチケット価格は開発費、燃料費、少ない座席数のために、通常の10倍ほどだったのです。
当然ながら需要が小さく、コンコルドを求める航空会社は少なかったようです。コンコルドは速度面では成功を収めたものの、コスト面では大失敗でした。
新しいオーバーチュアーの一番の特徴は、コンコルドで実現できなかったコスト面の改善にあります。
オーバーチュアーのチケット価格はコンコルドの4分の1だと言われており、これは現在の航空機のビジネスクラスと同じくらいの料金になります。
つまり、「ビジネスクラスの料金」で「移動時間を半分」にできるのです。
例えば、東京からニューヨーク間であれば通常13時間かかるところを、ビジネスクラス料金にすることで6時間に短縮できるのです。利用したい人は非常に多いでしょう。
XB-1の飛行テストは2021年、カリフォルニアのモハーヴェ空港で行われる予定です。さらにテストが順調に進むなら、2025年には旅客機オーバーチュアーが販売されるかもしれません。
低コストの超音速飛行の実現は確実に近づいています。
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