巨大コンドルは170kmを「1回も羽ばたかず」に飛べる

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Credit:pixabay
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  • アンデスコンドルを調査した結果、飛行時間の1%程度しか羽ばたくことがなかった
  • 羽ばたきは主に離陸時だけ行われ、翼を動かさずに170km以上の飛行も確認された
  • 巨大な鳥が滑空を利用することは知られているが、ここまで羽ばたかないのは想定外だ

世の中には大きくなりすぎて飛べない鳥もいますが、巨大化しながらも飛行している鳥も数多く存在します。

そんな巨鳥の1種がアンデスコンドルです。この鳥は最大で体重が約15キログラム、翼を広げたときの幅は3メートルにもなります。

こうした巨大な鳥は、主に滑空を利用して飛んでいることが知られています。

しかし、その巨大な体重を空中で支えるためには、ある程度羽ばたく必要もあると考えられていました。

彼らが巨大な翼を羽ばたくためには、とても大きなエネルギーが必要です。一体彼らは上空でどの程度羽ばたいているのでしょうか?

新たな研究は、コンドルにデバイスを取り付け彼らの羽ばたく頻度を調査しました。すると、まったく羽ばたいていなかったことがわかったのです。

翼を動かさずに飛び続けるコンドル

翼を広げるアンデスコンドル。/Credit:東武動物公園

調査が行われたのは8羽の子供のコンドルです。彼らにデバイスを取り付け、毎日の飛行時間と、その間の羽ばたきの様子が記録されました。

この調査で記録された飛行時間は230時間以上に及びますが、その間で羽ばたきが検出された時間はたったの1%程度のものでした。

しかも、この羽ばたきはほとんどが離陸のために行われたもので、上空で彼らが羽ばたくことはほぼなかったのです。

成鳥でない若いコンドルが、これだけ羽ばたかずに飛んでいるという事実は驚くべきものだと研究者は語っています。

それは比較的飛行経験の浅いコンドルでさえ、羽ばたきを最小限に抑えて飛ぶ必要に迫られているということです。

この研究では、若いコンドルが5時間以上もの間一度も羽ばたくことなく、気流だけを利用して170キロメートル以上も飛行したという記録も確認しました。

同業の研究者も、こうした調査結果に「彼らが基本的に翼を羽ばたかせるのは舞い上がるときだけというのは、驚くべき発見だ」と語っています。

巨大な鳥の飛び方

アホウドリは、海洋のコンドルというべき大型の鳥ですが、彼らは飛行中の14%はゆっくりと羽ばたきをしています。

コンドルの飛行時間の1%しか羽ばたかないという結果は、これよりはるかに少ないものです。

大きな鳥は羽ばたくとき、じっと翼を広げているときの約30倍近いコストを消費すると考えられています。

人間の扱うグライダーも動力などを持たず、気流だけを利用して飛び続ける飛行機です。

グライダーは条件が良ければ、一日中上昇気流を捕まえて長時間飛び続けることができます。

Credit:たきかわスカイパーク

こうしたグライダーの飛行距離の世界記録は3000kmに達するといいます。

コンドルなどの大型の鳥の飛行も、基本的には同じ原理で、高度の維持には強い上昇気流を利用します。

こうした巨大な乗り物が滑空だけで飛び続けるのを考えると、コンドルが滑空で飛び続けることはそこまで不思議なことではないようにも思えます。

しかし、グライダーのパイロットは慎重に天候を読み、それが飛行に適した天気がどうか判断した上で、飛行を行います。

自然のコンドルにそんな贅沢はできません。彼らは常に食べ物を見つけるために、天候や季節に関わらず毎日飛行しなければならないのです。

彼らがもっともコストを払うのは離陸時ですが、着陸にもかなり繊細な動作が必要になります。

彼らは常にどこへ着陸するかということを慎重に選んでいます。

上昇気流から別の上昇気流へと移動して、エサのある場所へ近づきたいとき、気流と気流の間に距離があれば彼らは羽ばたく必要が出てくるでしょう。

このとき彼らは予期せぬ着陸を強いられるリスクも高くなります。

しかし、研究ではコンドルが気流の激しい山岳地でも、強風が吹き荒れ上昇気流の条件が良くない冬の飛行でも、まったく羽ばたかないルートを進んでいることを発見しています。

彼ら巨大な鳥は、目に見えない気流やその障害を正確にナビゲートする方法を持っているようです。

今から800万年近く前のアルゼンチンには、コンドルよりもはるかに大きい体重が70kgを超える巨鳥アルゲンタヴィスがいたと言われています。

この鳥は、翼を広げると7m以上もあり、それは小型軽飛行機のセスナ機と同等のサイズです。

Credit: dinoanimals

巨大な鳥たちがどのように気流を見極め、着陸と離陸を最小限のコストで実現しているかを理解することは、こうした古代の羽ばたく飛行はほぼ不可能だったと考えられる巨鳥の存在を理解するためにも重要な知見になるでしょう。

この研究は、イギリスのスウォンジー大学の研究者H. J. Williams死を筆頭とした研究チームより発表され、論文は『米国科学アカデミー紀要:PNAS』に7月13日付けで掲載されています。

Physical limits of flight performance in the heaviest soaring bird
https://doi.org/10.1073/pnas.1907360117

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reference: sciencealert/ written by KAIN
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