未発見のタイプの超新星爆発によって弾き飛ばされた星が、銀河を時速90万キロで移動している

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Credit:University of Warwick/Mark Garlick
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  • 超新星を途中でやめたような非常に奇妙な化学組成の白色矮星が発見された
  • 非常に高速で銀河を移動していて、この星は超新星爆発の勢いで弾き飛ばされた
  • この星が経験したのは、まだ発見されていない新しいタイプの超新星爆発と考えられる

2015年にある奇妙な白色矮星が発見されました。

それは通常の白色矮星と全く異なる化学組成をしていて、非常に軽く、高速で銀河を移動していました

状況から見て、この星は連星系で起きた超新星爆発に弾かれて、銀河の反対に飛ばされたのだと考えられますが、しかし、この星を弾いた超新星はどうも普通の超新星爆発ではなかったようなのです。

研究者によると、それはまだ発見されていないタイプの部分的超新星爆発だった可能性があるようです。

未発見の超新星爆発とは一体なんなのでしょう?

組成が異常な白色矮星

Credit:University of Warwick/Mark Garlick

今回観測された星「SDSS J1240 + 6710」通称Doxは、地球からは1430光年離れた位置にある白色矮星です。

Doxは2015年に発見され、ありふれた白色矮星に見えました。しかし、スペクトル分析の結果、その化学組成が非常に奇妙だと判明したのです。

Doxの最外層は99%が酸素であり、他には微量のネオン、マグネシウム、シリコンを含んでいたのです。

それの何が奇妙なのかというと、白色矮星の組成はほとんどが水素とヘリウムのはずだからです。

超新星爆発を起こすほど重くない、太陽質量の8倍以下の恒星は、晩年に核融合する材料が不足してくると膨張を始め、外層を宇宙空間へ放出しながらヘリウムの核と僅かな水素だけを残して予熱で光る死んだ星になります。

大量の酸素や、マグネシウムやシリコンなどの重い元素は持つはずがないのです。

さらに詳細に観測を行うと、Doxの外層にはナトリウムやアルミニウムが含まれることもわかりました。これらの元素はすべて、超新星爆発の最初の熱核反応で生成される元素です。

これはこの星が、なにか別の天体の超新星爆発に晒されたことを示しています。

しかし、不思議なことに超新星爆発の後半に生成されるはずの鉄、ニッケル、クロム、マンガンなどの元素は見当たらなかったのです。

まるでその天体は、途中まで超新星を起こして、そこでやめてしまったような奇妙な状態でした。

まだ発見されていないタイプの超新星

こうした観測の中で、研究者たちはこの白色矮星が時速90万キロメートルという速度で移動していることに気づきました。

さらにこの白色矮星の質量が太陽の40%程度しかないということも突き止めました。これは白色矮星としては非常に軽い質量で、部分的超新星の質量損失と一致するといいます。

この星はもともと、非常に近い距離に伴星を持つ連星系の片割れだったのでしょう。

こうした連星がくっついた場合、たとえ死んだ星である白色矮星でも、チャンドラセカール限界を超えてⅠa型超新星爆発という熱核爆発を起こすことが知られています。

Credit:University of Warwick/Mark Garlick

しかし、研究者はこの星の持つ特徴的な化学組成、質量の低さ、非常に速い速度から、Ⅰa型超新星爆発とは異なる、これまで見たことのない種類の超新星だった可能性を考えています

Ⅰa型超新星爆発は、暗黒エネルギーの発見にも繋がった、宇宙の距離測定などで利用されている天文学者にとっては馴染み深い現象です。

Ⅰa型超新星爆発では長く続く閃光の中でニッケルが放射されますが、今回の星にはそれがありません。それはこの超新星が発見するのが困難な非常に短い閃光だったことを示唆しています。

この超新星は、すべての核爆発を起こさずに途中で質量の大部分を急激に放出してしまい、白色矮星はその影響でパチンコのように弾き飛ばしたと考えられます。

このため、この星が経験したのは部分的な超新星というまったく新しいタイプの現象だった可能性が高いのです。

超新星爆発は、まだその性質を完全に理解するには非常に難しい現象です。

爆発がほんの短期間に終了してしまえば、その現象を直接観測することは困難になります。その場合、この生き残った星が、まだ見ぬ新タイプの超新星を理解する唯一の手がかりとなるでしょう。

超新星にまだ新しいタイプがあるとは驚きです。

この研究は、イギリスのウォーリック大学の研究者Boris T Gänsicke氏を筆頭とした研究チームより発表され、論文は『王立天文学会月報』に7月20日付けで掲載されています。

SDSS J124043.01+671034.68: the partially burned remnant of a low-mass white dwarf that underwent thermonuclear ignition?
https://doi.org/10.1093/mnras/staa1761

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reference: University of Warwick,sciencealert/ written by KAIN
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