2種の絶滅危惧種の魚から誤って新しい「ハイブリッド種」を作ってしまった研究

Credit: mdpi
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  • 「生きた化石」と呼ばれる2種のチョウザメから、意図せず「ハイブリッド種」が誕生
  • 繁殖研究の中で、両者の精子と卵子が遺伝的混合に成功した

2015年公開の映画『ジュラシック・ワールド』では、恐竜の遺伝子を掛け合わせた超凶暴なハイブリッド種「インドミナス・レックス」が登場しましたが、これに近いことは現実でも起こりえます。

ハンガリー水産・海洋研究所(HAKI)の最新報告によると、恐竜と同じくらい古い歴史を持つ2種の魚類から、まったく新しいハイブリッド種が誕生したとのことです。

しかも、最初からハイブリッドの作成を計画していたわけではなく、繁殖研究の中で意図せずして誕生したそう。

一体、どんな新種が生まれたのでしょうか。

自然界では決して交わらない2種

研究に用いられた2種の魚類は、「ヘラチョウザメ(American paddlefish)」「ロシアチョウザメ(Russian sturgeon)」です。

ヘラチョウザメは北アメリカのミシシッピ川を、ロシアチョウザメは東欧の黒海やカスピ海を原産とし、普通なら交わることはありません。

両者の祖先は、ともに1億年以上前の恐竜時代にまで遡り、さらに長い歴史の中でほとんど姿を変えていないことから「生きた化石」と呼ばれます。

アメリカ原産の「ヘラチョウザメ」、長い鼻先が特徴/Credit: ja.wikipedia
東欧原産の「ロシアチョウザメ」、よりサメに近い見た目/Credit: en.wikipedia

研究チームは当初、個体数の減少が懸念されるロシアチョウザメについて、無性生殖の一種である「雌性発生(gynogenesis)」が可能であるかをテストしていました。

無性生殖は、メスが子孫をクローンとして生み出しますが、雌性発生は、オスの精子を発生のきっかけとして使います。ただ、オスの精子は発生の刺激となるだけで、遺伝的には関与しません。

チームは、ヘラチョウザメから採取した精子を、ロシアチョウザメの卵子の近くに置き、雌性発生するかを試しました。ところが予想とは違い、精子と卵子は遺伝的に完全に結合し、予期せずハイブリッド種が誕生してしまったのです。

人の手が介入しなければ、生まれることのなかった新種は「スタードルフィッシュ(sturddlefish)」と命名されています。

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