メキシコの洞窟に3万年前の人類の痕跡を発見! 北アメリカ最古の「ホテル」として使われていた

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メキシコ・チキヒテ洞窟/Credit: Devlin A. Gandy

先日発表された「うんちの化石」研究から、人類が初めて北アメリカ大陸に到達した時期は、約1万4000年前に更新されたばかりでした。

ところが今回、メキシコ北部の人里離れた洞窟内に、約3万年前の人の活動痕跡が発見されたのです。

2000個近く発見された石器には、明確に人の手が加わった跡が見られ、狩猟採集したと思しき動物や植物の遺骸も見られました。

人類が初めて北アメリカ入りした時期は、うんちが示す年代より、1万5000年も前に遡るかもしれません。

研究は、セント・ジョンズ・カレッジ (ケンブリッジ大学)とメキシコ・サカテカス大学により報告されています。

洞窟周辺は「麻薬カルテル」が牛耳っている

人跡が見つかった場所は、メキシコ北部の山岳地帯にある「チキヒテ洞窟(Chiquihuite Cave)」です。

この洞窟は、海抜2750メートルという高地にあり、普通の人は立ち入らないような急峻な場所に位置します。

到着までにかなりの労苦を要しますが、そのおかげでひっそりとした空間になっており、洞窟を使用した古代人は人目を気にすることなく滞在できたはずです。

徒歩で洞窟まで移動する研究チーム/Credit: youtube

そのせいか、現在では、メキシコの麻薬カルテルが洞窟周辺を縄張りにしており、研究チームは、武装した警察に護衛してもらいながら、洞窟まで向かわねばなりませんでした。

同行した研究員は、「非常に危険な区域なので、警察の装甲車に乗せてもらい山の麓まで行きます。その後、日の出前に徒歩で出発し、麻薬カルテルに見つからないよう洞窟まで歩きました」と話します。

チキヒテ洞窟の調査は、2010年から続いているのですが、調査中は洞窟内で寝泊まりし、中には数ヶ月間の洞窟泊を行ったツワモノもいるようです。

洞窟は北アメリカ最古の「ホテル」だった?

洞窟内の土壌には、植物や動物の遺骸が堆積しており、それらの年代測定から、洞窟の使用時期が約2万5000〜3万年前と特定されています。

動物の中には、クロクマやコウモリ、ハタネズミ、カンガルーネズミなどのDNAが同定されました。

調査中の研究チーム/Credit: Devlin A. Gandy

一方で、研究主任のエスケ・ウィラースレフ氏は「人々は洞窟に居住したわけでなく、一年のうちの一時期を、例えば夏や冬の避暑・避寒地として、あるいは移住中の狩猟の拠点として使っていた可能性が高い」と指摘します。

それは、洞窟内に人のDNAが見つからなかったことや、長期滞在の痕跡がなかったことから推測されています。

言うなれば、洞窟は北アメリカ最古の「ホテル」のようなものだったのかもしれません。

出土した石器/Credit: Devlin A. Gandy

しかし、10年におよぶ洞窟調査は、判明した新事実よりもはるかに多くの謎を生んでいます。最大の謎は「洞窟を訪れた人々が誰で、どこから来て、どこへ行ったのか」という点です。

彼らは、北アメリカに到達した最初の一団でありながら、植民に成功したわけではありません。北アメリカで人類の定住が始まったのは、「うんちの化石」が示す1万4000年前や「クローヴィス文化」として知られる1万2000年前頃が最有力です。

チキヒテ洞窟を訪れた人々は、定住を拒んだ「流浪の民」だったのかもしれません。

研究の詳細は、7月22日付けで「Nature」に掲載されています。

Evidence of human occupation in Mexico around the Last Glacial Maximum
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2509-0

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