1万6000年前から生きている「長老コンブ」を発見(スコットランド)

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credit:BBC

ヘリオット・ワット大学(スコットランド)の最新研究により、大西洋北部で1万6000年前から生きている長老コンブが発見されました。

地球の最終氷期は約7万〜1万年前まで続いたので、このコンブは氷河期から生きていることになります。

また調査の結果、長老コンブたちは、氷河期の終わりに北極付近から逃げ出してきた「難民」だったようです。

長老コンブは「難民集団」だった?

研究チームは、大西洋北部に広がる14のエリアからコンブを採取し、DNA分析を行いました。その結果、3つの異なるDNA群が見つかっています。

1つ目は、北米大陸の東海岸に沿って生息する「アメリカ・カナダ群」、2つ目は、イギリスのスコットランド、アイルランド沖に生息する「北部ヨーロッパ群」、3つ目がフランス西端の沖合に生息する「ブルターニュ群」です。

そのうち、北部ヨーロッパ群とブルターニュ群が、約1万6000年前から生き残っている長寿のコロニーと判明しています。

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フランス・ブルターニュ(赤)/Credit: ja.wikipedia

しかし、スコットランドおよびアイルランド群のDNAは、ブルターニュ群より、高緯度の北極圏付近に生息する個体群に非常に近いものでした。

これについて、研究チームの海洋生物学者アンドリュー・ワント博士は、こう説明します。

「最終氷期の間、北部ヨーロッパの海は、北極付近まで広がる氷床に覆われていました。それが氷河期の終わりに溶け始めて後退したことで、コンブもそれに追随し、現在のスコットランドやアイルランド辺りに南下したのです。」

つまり、北部ヨーロッパ群は、寒さの厳しい北極圏から逃げてきた「難民」だったのです。

ブルターニュ群がピンチ?

Credit: pixabay

調査によると、ブルターニュ群は現在、フランスから離れ、より高緯度に向かって移動していることが分かりました。

動植物は、地球が寒冷化し始めると暖かい場所を求めて南下し、温暖化に転じると涼しい場所を求めて北上します。ブルターニュ群は、温暖化に直面し、より涼しい楽園を目指して移動しているのかもしれません。

しかし、その先に待ち構えるのは、アメリカ・カナダ群や北ヨーロッパ群です。コンブ界には「自分たちの陣地は絶対死守」という掟があるため、別種のコンブが交わることはありません。

新参者の立ち入りは許されないので、ブルターニュ群の住める場所はより狭まってくるでしょう。

アルガルヴェ海洋科学センターのジョアン・ネイバ博士は「現時点でブルターニュ群は絶滅の危機に瀕してはいません。しかし、生息域の縮小はコロニーにネガティブな影響を与えますし、移住先の環境によっては個体数の減少が加速するかもしれない」と指摘します。

果たしてブルターニュ群は、長寿の知恵を生かして、このピンチを乗り切ることができるでしょうか。

reference: bbc / written by くらのすけ

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