ジュラ紀の哺乳類はただのエサにあらず!? 逆に巨大な恐竜の肉を食べていたと判明

animals_plants

ジュラ紀に左右対称の歯跡をつけられるのは哺乳類だけだった/Credit:Springer
point
  • ジュラ紀の巨大な恐竜の骨から左右対称の歯跡がみつかった
  • ジュラ紀において左右対称の歯跡を持つ動物は哺乳類しかいない
  • 恐竜時代の哺乳類は以前言われていたような非力な存在ではなく恐竜の死肉も貪っていた

恐竜の時代の哺乳類は非力な存在であり、常に「肉」を食べられる側の存在であった…と長年信じられてきました。

しかし新たに行われた調査により、ジュラ紀に生きていた哺乳類が、逆に恐竜の死肉を食べていたことが明らかになりました。

約1億6000万年前のジュラ紀後期に生きていた恐竜の首の骨から、哺乳類にしかつけられない「左右対称」の噛み跡がみつかったのです。

同じ時期に生息した他の肉食恐竜や他の動物には、意外なことですが左右で対になる歯は存在しません。

また今回の研究は図らずも、哺乳類の最古の摂食行動の証拠を示すことになったとのこと。

しかし、いったいどんな哺乳類が恐竜の肉をかじっていたのでしょうか?

恐竜時代の哺乳類は単なるネズミではなかった

ジュラ紀から白亜紀にかけて哺乳類は多様化していった/Credit:nature

恐竜の時代、哺乳類は陰で生きるネズミのような存在だったと考えられてきました。

しかし21世紀に入ってから恐竜時代の哺乳類の研究が飛躍的に進歩し、当時の哺乳類は小さいながらも多様化を進めていたことが分かってきています。

哺乳類は恐竜が全盛をふるうなかで、陸上・半水棲・樹上さらには現在のモモンガのように滑空能力を持ったものなど、極めて多様な姿を持つようになっていたのです。

これら生態学的多様化は、同じように変化に富んだ食生活を可能にし、草食・昆虫食・肉食・雑食など様々な食形態をもつ哺乳類の存在が明らかになりました。

今回の論文の第一著者であるオーガスティン氏も、そんな恐竜時代の哺乳類を研究している一人です。

彼はある日、恐竜の骨に奇妙な噛み跡を発見し、ハッとしたとのこと。

というのも、同じような奇妙な噛み跡を中国で発見された恐竜の骨にもあったことを思い出したからです。

早速オーガスティン氏は、化石の分析にとりかかりました。

噛み跡をつけられた恐竜は巨大な竜脚類だった/Credit:wikipedia

オーガスティン氏は分析の結果、巨大なマメンチサウルス科の首の骨の化石から、哺乳類しかつけられない「左右対称」の噛み跡を発見しました。

1億6000万年前のジュラ紀後期において、このような左右対称の歯をもつ動物は哺乳類以外存在しません。

哺乳類の祖先は2億5100万年前に起きた巨大噴火と酸素濃度の激減(30%から10%に)により恐竜に支配権を譲っていたものの、恐竜よりも優れた歯を持っていたことが知られています。

左右対称の歯は高度な噛み合わせ、噛み切り、磨り潰しを可能にしていました。

一方で、この時期の恐竜の歯は一定の間隔をあけてはえているだけで、歯を使った複雑な摂食行動は不可能であり、もっぱら巨大化したあごの筋肉に頼っていました。

恐竜の骨に歯型をつけた哺乳類の正体

恐竜の死肉を貪っていたのは肉食哺乳類だった/Credit:nature

研究者は化石に残された噛み跡の持ち主を、同じ区域から見つかった哺乳類の化石から探しました。

結果、噛み跡をつけた主は「Sineleutherus(シネレウテルス)」と呼ばれる哺乳類である可能性が濃厚となりました。

上の図はSineleutherusの近縁にあたる「Megaconus(メガコナス)」の骨格と復元予想図になります。

この時期の哺乳類は、ネズミのようでもありサルのようでもあり猫のようでもある…といった、後々の哺乳類の要素を併せ持っています。

また歯の骨からわかるように、SineleutherusやMegaconusには大きな牙があり、小さいながらも肉食であったことがわかります。

ただ当時の哺乳類には大型恐竜を倒す力はなかったことから、噛み跡は恐竜が死んだあとにつけられたと考えらるとのこと。

また噛み跡の分析から、Sineleutherusは死んだ恐竜の骨に付着した軟骨や肉などをこそぎ落とすようにして食べていたと推測されました。

哺乳類の肉食性も進化していった

恐竜の子供を襲って食べていたと考えられる白亜紀の哺乳類(トリコノドン)/Credit:wikipedia

恐竜の時代が始まる前、地球は私たちの祖先である「ハ虫類型哺乳類」が支配していました。

しかしペルム紀と三畳紀の間に起きた巨大噴火と激しい気候変動により、ハ虫類型哺乳類のほとんどは死に絶え、体も小さくなってしまったのです。

またこの時期、海底から大量に解け出たメタンと酸素が反応し、大気中の酸素濃度は30%から一気に10%まで下降します。

この低酸素にいちはやく適応したのが恐竜の祖先であり、酸素濃度が回復すると、恐竜は巨大化して地球を支配しました。

しかし恐竜の陰では、私たち哺乳類の祖先もまた被害から回復して多様化を進めていたのです。

今回の研究の成果により、哺乳類の食の多様化が既にジュラ紀において、恐竜の死肉にまで及んでいたことが明らかになりました

この後、白亜紀に入ると哺乳類の肉食性はさらに増し、上の図のTriconodon(トリコノドン)のように恐竜の子供を襲って食べるものも現れます。

そして恐竜が絶滅すると哺乳類は優れた歯を武器に復権し、恐竜の血を引いた巨鳥を絶滅させ、再度地球を支配することになるのです。

 

研究内容はドイツのテュービンゲン大学のフェリックス・J・オーガスティン氏らによってまとめられ、7月19日に学術雑誌「The Science of Nature」に掲載されました。

The smallest eating the largest: the oldest mammalian feeding traces on dinosaur bone from the Late Jurassic of the Junggar Basin (northwestern China)
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00114-020-01688-9

ポルトガルで「史上最強レベル」の新種恐竜を発見! ”ルシタニアの狩人”の異名を持つ

実は恐竜の「オスメス」は判別できていなかった

reference: newscientist / written by katsu
あわせて読みたい

SHARE

TAG