電灯からでた光は最後にどこへ消えるのか? 「光が飛んでいく」様子を撮影成功!

technology 2020/08/02

飛んでいく光は普通はみえないがみえてしまった/Credit:arxiv . youtube
point
  • 飛んでいく光の軌跡をリアルタイムに撮影することに成功した
  • 光の軌跡は散乱光を通してカメラに記録された
  • 画像の再構成には宇宙物理学におけるみかけ上の超光速運動を記載する数式が使われた

懐中電灯から発っされた光は、スイッチを切るとどうなるのか…?

既に飛んでいった光は永遠に飛び続けるのか、それとも光源の消失と共に消えてしまうのか…。

そんな疑問を抱いた人は少なくないと思います。

しかし今回、スイスの研究者たちの開発したカメラにより、レーザー光が3次元空間を飛翔していく様子が撮影され、疑問は解消されることになりました。

じつは現実の空間を旅する光には、SFの光線銃の軌跡と同じように始点と終点があったのです。

みかけ上の超光速運動に対応

奥行き(Z軸)に対して斜めに移動する光はみかけ上、超光速運動をしている/Credit:arxiv . youtube

光は通常、飛行中にはみえません。

SFではレーザー光が空間を飛んでいく様子がよく描写されますが、現実で見えるとしたら、それは私たちの目にレーザー光が命中しているときだけです。

ですが現在の科学技術を用いれば、光を見ることが可能になります。

レーザーが空気中の粒子にあたって散乱を起こす様子を撮影できれば、レーザーを直接目に受けなくても光の軌跡をたどれるのです。

しかしこれまで開発されたどの超光速カメラを用いても、光の軌跡をリアルタイムで撮影することはできませんでした。

特定の瞬間の光をとらえることができても、連続した映像として捕えることは困難だったのです。

ですが今回、スイスの研究者たちにより、ついに光の軌跡の全体像が判明しました。

彼らは散乱した光がカメラに到着する時間と、撮影される平面画像において光がどの深さにあるかを正確に測定しました。

そした、機械学習を用いてフレームごとの光の画像を並べ替えることで、光の軌跡の全体像を再構築することができたのです。

宇宙物理学におけるみかけ上の超光速運動が、光の軌跡を再現するヒントに!?

みかけ上の超光速運動はブラックホールから発せられるジェットでよく観測される/Credit:国立天文台

機械学習のアルゴリズムには、ブラックホールから発せられるジェットをはじめとした、宇宙物理学におけるみかけ上の超光速運動と同等の数式が組み込まれたとのこと。

みかけ上の超光速運動とは、奥行きに対して斜めに移動する電磁波が、光速より早くみえる現象をさします。

地味な現象ではありますが、3次元空間を立体的に移動する光の軌跡をとらえるには常に、このみかけ上の超光速現象を考慮しなければなりません。

さらに光をとらえる画素回路を極限までコンパクト化し、情報記録を高速化させたそうです。

結果、これまでにない高い時空分解能を獲得し、レーザーのみかけ上の超光速運動をフレームに収めることができました。

私たちの身近にある光を撮影するだけでも、高度な物理学の知識が役立っているようですね。

 

研究内容はスイス連邦工科大学のKazuhiro Morimoto氏らによってまとめられ、7月21日にプレプリント版が「arxiv」にて公開されました。

Superluminal Motion-Assisted 4-Dimensional Light-in-Flight Imaging
https://arxiv.org/pdf/2007.09308.pdf

 

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reference: newscientist / written by katsu
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