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オーストラリア産つぶつぶ「フィンガーライム」が柑橘類の未来を救うかも(アメリカ)

2021.01.27 Wednesday

2020.08.03 Monday

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Credit:depositphotos
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  • 柑橘類を緑化し樹木を枯死させる感染病により、米国のオレンジ生産量が大幅に減少
  • オーストラリアに生息するフィンガーライムは感染病にかからない
  • フィンガーライムから安全な治療薬を作成することに成功

柑橘類の果実を緑に変色させ、樹木を枯死させる病気「カンキツグリーニング病(huánglóngbìng:通称HLB)」が、現在の米国オレンジ産業に大きな打撃を与えています。

これまで、HLBに対する安全な治療法は見つかっていませんでしたが、最近、米国カルフォルニア大学リバーサイド校の植物分子遺伝学者のハイリン・ジン教授らの研究チームは、HLBに対抗できるペプチドを作成することに成功しました。

この新しいペプチドは、オーストラリアの「フィンガーライム」と呼ばれる果物から作られており、柑橘類樹木に散布・注射することで、HLBを治療できます。

オレンジを緑化する「カンキツグリーニング病」

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Credit:T.R. Gottwald and S.M. Garnsey / Wikipedia

カンキツグリーニング病(HLB)は、柑橘類の樹木が病原体に感染することで発症します。

HLBに感染した柑橘類には、枝や葉に斑点や変形といった症状が表れます。またその果実は本来黄色やオレンジ色なのですが、一部が緑に変色してしまい、非常に苦くなってしまいます。

さらに、病気が進行すると樹木は徐々に衰弱し、最終的には枯死に至ってしまうのです。

この病気は世界中に広がっており、米国のフロリダにも大きな影響を与えています。例えば、フロリダの2000年オレンジ生産量は約3億箱でしたが、2019年には約7000万箱にまで減少しているとのこと。

その対策方法としてこれまで有力視されていたのは、感染した樹木の伐採です。

また、HLBの病原体がキジラミと呼ばれる昆虫によって運ばれてくるため、農薬を散布することでキジラミを殺す手法も取られてきました。

しかし、この農薬はミツバチに有毒なため、より安全な対処方法が求められてきたのです。

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