ネオワイズ彗星を撮影しようとしたら「大量の人工衛星」に邪魔された写真が残念すぎる…!? 天文学者の怒りが炸裂

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Credit:Daniel Lopez/Facebook,El Cielo de Canarias

次に見えるのは6800年後と言われるネオワイズ彗星の美しい姿をフレームに収めようと、世界中で写真家や天文学者が夜空の撮影を行っています。

そんな写真家で天文学者でもあるDaniel Lopez氏が、撮影写真の一枚をネット上で共有し、遺憾の意を表明しています

その画像が上の写真ですが、ネオワイズ彗星が撮影された写真の中にたくさんの白い縞模様が映っています。

夜空の露光撮影にお馴染みの、星の軌跡とも違うようですがこの白い筋は一体なんなのでしょうか?

実はこれは大量の人工衛星です。Lopez氏は「人工衛星に撮影を邪魔された!」と嘆いているのです。

現在、天体観測を邪魔する人工衛星が天文学者や写真家の間でかなり問題になっているのです。

美しい夜空の写真を傷つける人工衛星。これは現代の利便性の弊害かもしれません。

通信衛星12,000基を打ち上げる「スターリンク計画」とは?

今回撮影された画像に映っているのは、宇宙開発で話題の民間企業スペースX社が打ち上げたスターリンク計画の要となる衛星たちです。

スターリンク計画は、衛星による高速インターネットサービスの提供を目的として、2020年までに高性能な通信衛星を12,000基打ち上げて巨大通信衛星網を築くことを目指しています。

スターリンク計画の60基の衛星が打ち上げられている様子。/Credit:Official SpaceX Photos,Wikipedia

この計画は人類の発展のための素晴らしい計画だと言えるかもしれません。しかしこの計画については、地上からの天体観測を妨害する可能性があるとして、プロアマ問わず天文学者たちから批判を集めてもいるのです。

その問題が早くも明確に映し出されてしまったのが、今回の彗星撮影の写真なのです。

衛星の写真爆撃だ

アップされた白い筋の入ってしまった写真は、30秒間の露光撮影を行った17枚の写真の合成から作られています。

短時間の露光なので、星自体はブレることなくそれらを重ねて鮮明な天体写真を作り出しています。

ところが、スターリンクの衛星は上空の各階層にそれぞれ打ち上げられていて、低軌道の衛星は90分で地球を周回しています

そのため短時間の露光撮影でも、白い筋となって撮影画像を傷つけてしまうのです。

これはFacebookに投稿されたそれぞれの露光撮影をつなげた動画です。

天文学者のJulien Girard氏は、これを衛星が彗星を「完全に写真爆撃した」と言ってTwitterを投稿しています。

天文学か 快適な通信か

天体観測には、ハッブル宇宙望遠鏡をはじめ軌道上の観測機が利用されることもありますが、現在も多くの天体観測や天文学の研究には地上に建設された望遠鏡が利用されています。

これは数時間以上の長い露光時間をかけて遠い天体の画像を保存しています。

このとき、タイミングの悪いスターリンク衛星が夜空を横切れば、それで研究が台無しにされてしまう可能性があるのです。

スペースX社は、スターリンクの軌道パスデータを天文学者と共有することで、衛星が望遠鏡の範囲を通過するときカメラをオフにすることで、露光撮影をダメにする問題を解決しようと計画しています。

しかし、そんなことしてもらっても避けられない場合があるだろう、と天文学者は怒っています。

もちろん、こうした衛星計画はスペースX社だけが計画しているものではありません。Amazonを含め多くの企業が狙っている分野なのです。

こうした短いスパンで行き交う大量の衛星で地球が覆われれば、地上からの天文学研究は行き詰まってしまうことになるかもしれません。

何千年も続いてきた夜空の景色を守るのか、社会生活の利便性を取るのか、天文学にとって頭の痛い時代がやってくるようです。

 

reference: sciencealert/ written by KAIN
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