遺伝子は哺乳類と爬虫類のハーフ⁈
今回の研究では、ムカシトカゲの遺伝子を調べ、系統樹の中でどこに位置するかを確かめました。ムカシトカゲは近縁種がいないため、系統樹の正確な位置付けが困難なのです。
調査の結果、ムカシトカゲの遺伝子は、ヘビやトカゲよりも哺乳類や鳥類に近いことが判明しました。
特に、動く遺伝子として知られる「トランスポゾン」、いわゆる「ジャンピング遺伝子」にその兆候が見られています。
遺伝子は普通、染色体の一定の場所に固定されており、一般的には、遺伝子が単独で染色体から離れ、他の染色体に移動することはありません。しかし、1950年代に、ある染色体から他の染色体にジャンプできる遺伝子が発見されました。
これがトランスポゾン(ジャンピング遺伝子)です。
ムカシトカゲは、このジャンピング遺伝子において、爬虫類を約4%、単孔類(哺乳類でありながら卵生、カモノハシなど)を約10%、そしてヒトを含む胎盤哺乳類を1%ほど共有していることが分かりました。
研究主任のデビッド・アデルソン教授は「これは非常にめずらしい例であり、ムカシトカゲが遺伝的に哺乳類と爬虫類の中間に位置することを示す」と話しました。
ムカシトカゲは、約2億5000万年前にヘビやトカゲと袂を分かち、独自の進化線を歩んでいったものと思われます。
研究の詳細は、8月5日付けで「Nature」に掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2561-9