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さよなら注射。皮膚を「押して」薬を投与する薬剤浸透法が開発される (2/2)

2021.01.27 Wednesday

2020.08.08 Saturday

前ページ圧力を加えて微小孔をつくり、薬剤を浸透させる

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マウステストで高い浸透率が実証される

この圧力浸透法の効果を調べるために、マウスを使ったテストが行われました。

その結果、圧力浸透法を利用したマウスは、皮膚に塗布しただけのマウスよりも6倍の量の薬剤が体内へ浸透したのです。

この浸透法は注射による痛みや傷がないので、1型糖尿病患者のインスリン投与に適用できると考えられています。

画像
Credit:Chin Shiuan Daniel Lio

そこで、圧力浸透法によるインスリン試験も行なわれました。

実験ではマウスの皮膚を介してどれだけのインスリンが通過するか計測。その結果、インスリンは従来の経皮投与で報告されている最大量の約40倍も通過しました。

また、圧力浸透法による塗布は、マイクロニードルによって注入する薬剤量と変わらないことも判明しました。

ちなみに、微小孔は形成後1日で無くなることも観察されており、これは皮膚細胞が隙間を埋めたことを示唆しています。

現在、研究チームはメカニズムを改良するために更なる実験を続けており、圧力デバイスの特許も申請中です。

将来、「注射しない薬剤投与」が一般的になるかもしれませんね。

この研究は5月29日、「Science Advances」に掲載されました。

Temporal pressure enhanced topical drug delivery through micropore formation
https://advances.sciencemag.org/content/6/22/eaaz6919

「舐めるワクチン」が開発される!2年後には流通目指す

reference: ntu / written by ナゾロジー編集部

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