「遠近両用コンタクト」の効果は?
遠近両用コンタクトは、射撃の的のような同心円状の形をしており、近視用と遠視用の2つのパートに分かれています。
そもそも近くのものと遠くのものを見るための度数は異なり、その度数の差を「加入度数」といいます。
遠近両用コンタクトは、近視と遠視の双方に対応するため、レンズの場所によって度数を変えて、意図的に加入度数を作っているのです。
レンズ中心部は、近視を矯正するための度数で、網膜の後ろに焦点を伸ばすことで遠くが見えやすくなります。その周囲は、網膜の手前に焦点を引っ張ることで遠視を矯正し、近くのものを見えやすくします。
こうすることで、近視と遠視の両方を同一のレンズで矯正できるのです。
今回の調査で、遠近両用レンズは、光の焦点を前に持ってくることで、目の成長を遅らせることが判明しました。
実験では、7〜11歳の近視の子ども287名に参加してもらい、通常のコンタクトと遠近両用コンタクト(加入度数が中度と高度の2パターンを用意)を振り当て、3年に及ぶ追跡調査を行なっています。
その結果、近視の進行が最も遅かったのは、高度の遠近両用コンタクトで、目の成長は平均0.42mmでした。中度では平均0.58mm、通常のコンタクトでは平均0.66mmとなっています。
同チームのデビッド・バーンステン氏は「遠近両用コンタクトは、一般のレンズと比較して、3年間で約43%も近視の進行を抑えていた」と話します。