3つの丸だけで顔に見える「パレイドリア現象」は、顔だけでなく「感情」も読み取っていた!

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Credit: flickr,Tom Hentoff

雲や石ころ、コンセントや家の外壁が、何かの顔に見えることがあります。

これは「パレイドリア」という心理現象であり、誰もが一度は経験があるでしょう。「月の中にウサギが見える」というのもパレイドリアのひとつです。

目と口を表す形があれば、脳は自動的に「顔」と認識してしまうのですが、今回、ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)の研究により、パレイドリアの働きは、形状の認識のみにとどまらないことが判明しました。

研究チームによると、パレイドリアは、顔の感情を読み取る社会的な働きも備えていたとのことです。

時々、物に見られている感じがするのは、これが原因かもしれません。

「パレイドリア」はなぜ起こる?

人の顔は、すべて少しずつ違いますが、目や口の空間的な配置など、共通する点もあります。

研究主任のコリン・パルマー氏は「顔を表す基本的なパターンは、私たちの脳が敏感に反応する形であり、それと同じ特徴を持つ物体は、パレイドリアを引き起こしやすい」と説明します。

不思議ですが、丸が2つに、線が1本あれば、脳は勝手に顔を解釈してしまうのです。

これだけで「顔」に見えてしまう/Credit: ja.wikipedia

その一方で、日常の顔認識は、単に顔の形に気づくだけでは終わりません。そこには、顔の人物が誰であるか、喜んでいるか怒っているか、あるいはこちらに気づいているかなど、あらゆる情報を同時に読み取っているのです。

そこで研究チームは、パレイドリアにも同様の働きがあるかどうか調べるため、ある実験を行いました。

「パレイドリア」は感情も読み取っていた

実験では、60名の被験者を対象に、ある一定の方向(被験者の向かって左側)に視線を向けているように見えるパレイドリア物体(写真)を反復して見せ続けました。

これを繰り返した後、次に視線がまっすぐ向いているパレイドリア物体を見せると、被験者は「自分の右側を向いているように見える」と報告したのです。

これは「感覚順応」という錯覚であり、一定の刺激が続けて与えられることで生じる感受性の変化を指します。

パルマー氏は「感覚順応は、実際の人の顔を見ているときにも働く認知メカニズムであり、主に感情を読み取る社会的な意味を持っている」と説明します。

火星で撮影された画像、中央やや上に人の顔のような岩が見られる/Credit: NASA / JPL

つまり、私たちは、顔に見える物や景色が無機物と分かっていても、そこに感情も読み取っているのです。

なので、顔状の物体を見て、「自分が見られている」とか「不気味な表情に見える」と感じるのは、この働きによるのでしょう。

「パレイドリア」は進化の上で有利に働いた?

Credit: ja.wikipedia

今回の結果は、パレイドリアが純粋な形状の認識というレベルを超えて、感情の読み取りといった高レベルの情報処理もこなしていることを証明しました。

パレイドリアが存在する理由について、パルマー氏は「人類が進化する上で大きなアドバンテージになったのではないか」と指摘します。

例えば、顔や感情の認識は、仲間とのコミュニケーションやコミュニティーの発達に欠かせませんし、天敵に対する素早い察知にも有用に働いたでしょう。

その中で、顔に見えるものには何でも敏感に反応するようになったのかもしれません。

「パレイドリアは、ないよりある方が確実に有利です。石や木を顔を見間違えても問題になりませんが、仲間や天敵に気づかないのは大いに問題があるのです」とパルマー氏は述べています。

 

研究の詳細は、7月22日付けで「Psychological Science」に掲載されました。

Face Pareidolia Recruits Mechanisms for Detecting Human Social Attention
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0956797620924814

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