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「ケブカサイ」が絶滅した原因を解明。体毛により温暖化の暑さに耐えられなかったか

2021.01.28 Thursday

2020.08.19 Wednesday

現生するサイに厚い体毛はありませんが、かつてユーラシア大陸北部に生息した「ケブカサイ」はモコモコした毛で覆われていました。

ケブカサイの起源は、360万年も前に遡りますが、1万4000年ほど前に、最後の生息地となったシベリア北東部からこつ然と姿を消しています。

「人類による過剰な狩りが原因ではないか」とする説もありますが、正確な絶滅の理由は今もって分かっていません。

ところが今回、スウェーデンとロシアの研究チームにより、ケブカサイは気候変動によって絶滅したことが判明しました。

人類も同じテリトリーに住んでいましたが、調査の結果、狩猟が絶滅の原因とはなっていなかったようです。

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シベリアで見つかった遺体から復元された幼体の「ケブカサイ」/Credit: Albert Protopopov

1万8000年前の時点では「ケブカサイ」絶滅の兆候なし

研究チームは、ケブカサイが絶滅する以前の個体群の大きさを特定するため、これまでに見つかっている14体の遺体からDNAを採取しました。

研究主任のラブ・ダレン氏(スウェーデン古生物遺伝学センター)は「個体のDNAは、祖先から受け継いだ遺伝子のモザイクでできており、それを分析することで過去の繁栄度合いも分かる」と指摘。

その上で「種の個体群は、近親交配の頻度が少なく、遺伝的な多様性が高いほど大きくなる」と続けています。

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ケブカサイのDNAを採取中の研究員/Credit: Marianne Dehasque

DNA採取の結果、約1万8500年前のケブカサイの個体から完全なゲノム解析に成功しました。

母親と父親それぞれから受け継いだ染色体を比較してみると、近親交配の痕跡はあまり見られず、反対に遺伝的な多様性は高いことが分かっています。

さらに、この個体のDNAから、1万8500年の時点では個体数は安定していて、かなり大きな群れを構成していたとのことです。

そこから、さらに数万年前まで遡っても個体群は大きく、絶滅の兆候はまったくありませんでした。

個体群の激減は1万4000年前から始まるのですが、一体何があったのでしょうか。

次ページ人間ではなく「気候変動」が絶滅の原因だった!

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