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粘性のある気泡が”はじけるメカニズム”をスローモーションで解明!「表面張力」がカギ

2021.01.27 Wednesday

2020.08.20 Thursday

流体の気泡がはじける様子はほんの一瞬の出来事ですが、これが粘性の高い気泡だった場合、気泡の崩壊は1秒近くかけて行われます。

これをスローモーションで見ると、なんとも美しい姿をしています。

しかし、これはただ美しいだけではありません。比較的ゆっくり起きる気泡の崩壊は、そこで作用している物理学の研究に最適な対象です。

気泡はガラス製造時や、スプレー塗装、果ては放射性廃棄物の処分や火山噴火など、自然現象や産業のどこにでも存在しているため、振る舞いを正しく理解することは非常に重要です。

新たな研究はそんな粘性気泡のはじけるメカニズムを明らかにしつつ、学術雑誌『Sience』の表紙にも選ばれる美しい画像を提供しています。

興味深い気泡崩壊の研究を見ていきましょう。

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Credit:OLIVER MCRAE/BOSTON UNIVERSITY,Sience

粘性液体の気泡が崩壊する様子を撮影

粘性液体では気泡が崩壊するまでに少し時間がかかります。気泡は沈んで収縮していき、最後は中央に穴の空いた円盤のようになります。

過去の研究では、この現象は直感的に重力が作用しているのだろうと考えられていました。しかし、実際それは誤った認識だったようです。

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シリコンオイルの気泡崩壊のスローモーション映像。/Credit: Alexandros Oratis and James Bird, Boston University

これはシリコンオイルのような粘性の高い液体の表面で、気泡に穴を開けて崩壊する様子を映した動画です。

この実験のシリコンオイルは水の250万倍も高い粘性を持っています。ちなみに蜂蜜は水の2万倍の粘性と言われています。

非常に粘性が高いため、新たな研究ではこの気泡の崩壊を上下逆さまにしてやってみました。すると、元の状態とまったく同じように気泡が潰れていったのです。

重力の影響が逆向きに働いていても、気泡はの潰れる速度は変わらなかったのです。

これは気泡が潰れていくのは重力の影響によるものだというこれまで理解を打ち砕くものでした。

もっとも大きく働いているのは表面張力だったのです。

次ページ気泡の崩壊には「表面張力」が大きく影響していた

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