粘性のある気泡が”はじけるメカニズム”をスローモーションで解明!「表面張力」がカギ

physics

Credit:OLIVER MCRAE/BOSTON UNIVERSITY,Sience

流体の気泡がはじける様子はほんの一瞬の出来事ですが、これが粘性の高い気泡だった場合、気泡の崩壊は1秒近くかけて行われます。

これをスローモーションで見ると、なんとも美しい姿をしています。

しかし、これはただ美しいだけではありません。比較的ゆっくり起きる気泡の崩壊は、そこで作用している物理学の研究に最適な対象です。

気泡はガラス製造時や、スプレー塗装、果ては放射性廃棄物の処分や火山噴火など、自然現象や産業のどこにでも存在しているため、振る舞いを正しく理解することは非常に重要です。

新たな研究はそんな粘性気泡のはじけるメカニズムを明らかにしつつ、学術雑誌『Sience』の表紙にも選ばれる美しい画像を提供しています。

興味深い気泡崩壊の研究を見ていきましょう。

粘性液体の気泡が崩壊する様子を撮影

粘性液体では気泡が崩壊するまでに少し時間がかかります。気泡は沈んで収縮していき、最後は中央に穴の空いた円盤のようになります。

過去の研究では、この現象は直感的に重力が作用しているのだろうと考えられていました。しかし、実際それは誤った認識だったようです。

シリコンオイルの気泡崩壊のスローモーション映像。/Credit: Alexandros Oratis and James Bird, Boston University

これはシリコンオイルのような粘性の高い液体の表面で、気泡に穴を開けて崩壊する様子を映した動画です。

この実験のシリコンオイルは水の250万倍も高い粘性を持っています。ちなみに蜂蜜は水の2万倍の粘性と言われています。

非常に粘性が高いため、新たな研究ではこの気泡の崩壊を上下逆さまにしてやってみました。すると、元の状態とまったく同じように気泡が潰れていったのです。

重力の影響が逆向きに働いていても、気泡はの潰れる速度は変わらなかったのです。

これは気泡が潰れていくのは重力の影響によるものだというこれまで理解を打ち砕くものでした。

もっとも大きく働いているのは表面張力だったのです。

気泡の崩壊には「表面張力」が大きく影響していた

表面張力とは、表面の面積を最小化するように働く力のことです。半球型の気泡の表面は、潰れた後の円盤よりも面積が大きいため、表面張力は泡が平らになるまで力強く収縮していくとのこと。

またよく見るとこの気泡の最後では周囲にシワができているのがわかります。表面張力が働いている場合、こうしたシワは発生しないはずです。

過去の研究ではこのシワの存在を、重力が表面張力に打ち勝ったことで発生したものだろうと説明していました。

しかし、新たな研究の結果ではこれらの問題は、泡の上部より下部の方が膜が分厚いために表面張力に逆らってシワを作成しているのだと明らかにしました。

これは非常に急速に粘性液体が圧縮されたことで生まれる挙動だといいます。

2000年に気泡の崩壊を重力の影響と結論づけたMITの物理学研究者Rava da Silveira氏は、今回の新しい研究にとても感心したと述べています。

崩壊の様子が科学雑誌「Sience」の表紙に採用!

この研究の気泡は非常に幻想的な姿のため、科学雑誌Sienceの表紙画像に選ばれました。

ただ、研究論文では真横と真上から見た画像しかなかったため、担当者は研究室を訪れて丁度いい角度できれいに取れる写真を取り直したそうです。

Credit: Science Advances, doi: 10.1126/science.aba0593

これがその時の撮影装置ですが、かなり苦労して撮影したようです。透明な気泡を撮るためには輝度の高いライトを3つも用意して照らさなければならず、しかし、そのライトの熱で気泡が崩壊してしまったとか。

そんな苦労の末作られたのが、この表紙です。

Credit:OLIVER MCRAE/BOSTON UNIVERSITY,Sience

なんともカッコいいですね。

 

この研究は、米国ボストン大学の研究者Alexandros T. Oratis氏を代表とする研究チームより発表され、科学雑誌『Sience』に8月7日付で掲載されています。

A new wrinkle on liquid sheets: Turning the mechanism of viscous bubble collapse upside down
https://science.sciencemag.org/content/369/6504/685

フィリピンの海底に謎の「大量の泡」がわき出る場所を発見

reference: insidescience,phys,sciencemag/ written by KAIN
あわせて読みたい

SHARE

TAG