「ベビートーク」を使うのは母コウモリだけだった
調査対象となったのは、中南米の熱帯雨林に生息する「オオシマサシオコウモリ(Saccopteryx bilineata)」です。
このコウモリは、幅広い発声レパートリーを持つことで知られ、求愛やテリトリーの防衛など、TPOに応じて決まった発話を使い分けます。
オオシマサシオコウモリの乳児は、生後3ヶ月の間に発声の練習を始めるのですが、今回の調査では、父親と母親で、乳児の発声に対する反応が違うことが明らかになりました。
録音から分析してみると、母親だけが、乳児の発話に対し、普段の会話では使わない音で返答していたのです。
これは、まだ意味をなさない乳児の発話に対し、同じレベルでフィードバックすることで会話の練習相手になっていることを示唆します。
明らかに成熟した仲間と話すときとは違い、声色やピッチを変えた「ベビートーク」を使っていたのです。