野生のオスイカたちは発情すると「液晶」のように鮮やかな色になり、メスへ”体当たりでキス”する

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波打つ模様は色素器官を神経で高速制御することで可能になる/Credit:Journal of Experimental Marine Biology and Ecology . youtube

カモフラージュ能力に長けた一部のイカは、まるで体の表面に液晶画面を張り付けたかのような華やかな模様変化をみせてくれます

この華やかなイカ(Metasepia pfefferi)は、テレビや動画でよく放映されるのでご存知のかたも多いはずです。

しかしながら注目度は高くとも、彼らの野生での暮らしぶりは、ほとんど知られていません

そこでアメリカ海洋生物学研究所のハンロン氏らは、自然環境でのイカの振る舞いを詳細に観察する計画を立てました。

結果ハンロン氏らは、オスのイカたちの命を賭けた壮絶な恋愛ドラマを目撃することになります。

「体当たりでキス」オスイカの命がけの求愛行動

特徴的な波打つ模様は求愛のときにみられる/Credit:Journal of Experimental Marine Biology and Ecology . youtube

オスイカの求愛は大きくわけて3段階で行われます。

まずは上の動画のように、身体の色彩を波のように変調させながら、3組の腕を素早く振って、メスにアピールします。

この最初のプロセスは「波」と言われています。

「波」が行われているとき、イカは皮膚表面にある何千もの色素器官を高速神経制御によって操っています。

イカのキスは身体ごと相手にぶつかっていく/Credit:Journal of Experimental Marine Biology and Ecology . youtube

次にオスは「波」を続けながらメスの体に触れる「キス」と呼ばれる行いをはじめます。

しかし、ほとんどの場合、メスはオスの求愛を無視します。

メスはオスの求愛中も海底に擬態したまま、エサを食べ続けます。

そのためオスの「波」と「キス」は1時間近く続くこともあったとのこと。

しかし派手な色彩変化である「波」を長く続けていれば当然、天敵の目を引いてしまいます。

あるケースでは「波」を熱心に続けていたオスが、天敵のカサゴにパクリと食べられてしまったとのこと。

メスへの求愛はオスにとって、命がけだったのです。

カラフルな模様変化は威嚇にも使われる

イカの威嚇に戸惑いをみせる2匹の魚/Credit:Journal of Experimental Marine Biology and Ecology . youtube

鮮やかな色の変化は、天敵への威嚇にも使われます。

上の動画で2匹の魚が、イカのカラフルな色彩の変化に驚き、戸惑う様子が映っていると分かるでしょう。

体の左半分で求愛しつつ右半分でライバルのオスを威嚇する/Credit:Journal of Experimental Marine Biology and Ecology . youtube

また天敵に対する威嚇以外にも、ライバルとなるオスに対する威嚇も色彩変化で行われていました

上の動画に映るオスは体の左半分で「波」を行いメスに求愛していますが、右半分では白と黒のシグナルを発し、近寄ってきた恋敵のオスを威嚇しています。

体の半分で求愛しつつ、もう半分で威嚇するとは、とてつもなく器用だと言えます。

恋愛成就の瞬間!2.89秒の交尾

オスはメスの30%ほどの大きさしかない/Credit:Journal of Experimental Marine Biology and Ecology . youtube

メスがオスの求愛を受け入れる確率は高くありません。

しかし好みのオスがやってきたときは、上の動画のように脚を広げて、オスの精子を特別な容器に受け入れます。

上の動画からもわかるとおり、交尾の時間は極めて短く、平均時間はわずか2.89秒でした。

命がけの求愛も、最後はあっけなく感じるかもしれません。

 

研究内容はアメリカ、海洋生物学研究所のロジャー・T・ハンロン氏らのよってまとめられ学術雑誌「Journal of Experimental Marine Biology and Ecology」の8月号に掲載されました。

Flamboyant cuttlefish behavior: Camouflage tactics and complex colorful reproductive behavior assessed during field studies at Lembeh Strait, Indonesia
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022098120300642?via%3Dihub

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reference: sciencedaily / written by katsu
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