大気圧の4億5千万倍という「史上最高の圧力」が実験室で再現される。白色矮星の物理モデル作成に役立つか

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Credit: Mark Meamber and Clayton Dahlen/LLNL.

実験室で生成された圧力の最高記録が達成されました。

これはレーザーを使って炭化水素のサンプルを最大450メガバールで圧縮するもので、その圧力は地球大気圧の実に4億5千万倍にもなります。

この圧力は、惑星や褐色矮星のコアにかかる圧力と同じくらいの高圧で、こうした非常に高圧の環境を再現する実験は、現在うまく物理モデルの作れていない白色矮星の研究に役立ちます。

最高の圧力から、星の進化の最終段階が理解できるようになるかもしれません。

核融合研究施設で達成された史上最高圧力の実験

国立点火施設のレーザー増幅装置。ここから500TWが照射される。/Credit:en.Wikipedia

この実験を実現させたのは、米国カリフォルニア州にあるローレンス・リバモア国立研究所にある「国立点火施設(NIF)」です。

NIFはレーザー核融合の実験施設です。点火と言われるとガスコンロを想像してしまいそうですが、ここで点火させるのは核融合です。

核融合は星の核のような非常に高圧で物質が圧縮されたときに発生します。レーザーを使い放射線でターゲットを圧縮し、核融合を点火させるのが点火施設の目的です。

金でできた円筒の実験カプセル内に高エネルギーのレーザーを照射し、反響で内部を均一にX線で満たします。これが小さな恒星を再現するように、内部を高圧にするのです。

直径2mmのカプセル内で1秒間で500兆ワットのレーザーが爆縮を起こす。/Credit:Lawrence Livermore National Laboratory

さもでかい実験装置かと思いきや、この装置はたった直径2mmしかありません。

Credit:National Ignition Facility

この瞳より小さな金の円筒の中で超高圧が再現されたのです。

白色矮星の環境が理解できるようになる

実験室内で作られた超高圧は、地球大気圧の4億5千万倍です。

こうした極端な環境は、白色矮星のエンベロープ(星を覆う雲)を理解するために重要だといいます。

白色矮星は、太陽のような中低質量の星が晩年に収縮と膨張を繰り返して核燃料を使い尽くしたときに形成される星です。

それは燃え尽きた星の核(炭素と酸素の高密度な混合物)でできていて、この白色矮星にはガス上に星を包むエンベロープがあります。

地球から2100光年離れた白色矮星のエンベロープ。矢印の位置が白色矮星。/Credit: B. Balick, University of Washington et al., WFPC2, HST, NASA

白色矮星のエンベロープには、炭素が強く圧縮されて高温のスペクトル線を放っているHot DQというものが見つかっていますが、これを含めた状態方程式がうまくモデル化できていないのです。

実験では、これは炭素が極度に圧縮されたとき、その圧力で炭素原子から内殻電子が剥ぎ取られ透明度が低下させていると判明しました。

白色矮星は高密度で非常に重力が強く、地球上で体重50kgの人が白色矮星に行けば体重が1600万kgを超えてしまいます。

そのような極端な環境で炭素にかかる圧力は、通常考えられるモデルと計算に不一致を生み出してしまうのです。

ここで何が起きているか、星の進化の最終段階を理解するために、高圧力の実験が役立つのだそうです。

白色矮星は宇宙の年齢や、周囲の星の年齢を測るための時計のような役割もあります。そこで起きる振る舞いを理解することは、飛んでもない高圧実験は宇宙を調査するために重要なのです。

 

この研究は、米国カリフォルニア州にあるローレンス・リバモア国立研究所の研究チームより発表され、論文は科学雑誌『Nature』に8月5日付けで掲載されています。

A measurement of the equation of state of carbon envelopes of white dwarfs
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2535-y

相対性理論 vs 万有引力!? 白色矮星の質量を異なる重力理論で計算すると…?

reference: LLNL,NIF / written by KAIN
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