巨大ダムが海面上昇を食い止めていたと判明。ダムの建設ブーム中は海面上昇がほぼなかった!?

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クロトン(アメリカ)/Credit: jp.depositphotos

温暖化による水の熱膨張や氷河の融解で、海面は年々上昇しています。

ところが、NASA・ジェット推進研究所により、巨大ダムの建設が海面上昇を抑えていたという研究結果が新たに報告されました。

過去100年にわたり、ダムの建設と海面上昇率の関連性を調べたところ、巨大ダムが増加した年代には海面の上昇がほぼ止まっていたとのことです。

しかし、ダムを増やすだけで本当に海面上昇は防げるのでしょうか。

がなければ海面上昇率は年間12%も高かった⁈

1900〜2018年の海面上昇率を調べたところ、年間平均1.56mmと判明しました。一方で、気候変動による氷河の融解や熱膨張率を考えると、計算では海面はもっと高くなっているそうです。

そこで関連性が見られたのが「の建設」でした。

現在、世界には約5万8000の大型があり、その多くはここ60年間に建てられたものです。特に、1950〜70年代にかけ、各地で大型の建設ブームが起こり、アフリカ南部・ジンバブエの「カリバ・ダム」、ロシアの「ブラーツク・ダム」、エジプトの「アスワン・ハイ・ダム」などが建てられました。

カリバ・(ジンバブエ)/Credit: bbc

そして調査の結果、70年代には海に流れ込む水量が大幅に減り、海面の上昇がほぼ起きていなかったのです。

研究主任のトーマス・フレデリクス博士は「過去100年間に、もしや貯水施設が建設されていなければ、海面上昇率は年間12%も高くなっていた」と指摘します。

を増やしても手遅れ?

ところが、1990年代に入ると、の影響力は薄れていました。世の中に「巨大が自然環境を破壊している」という考えが広まり、数多くの建設プロジェクトが中止されたためです。

それと同時に、温暖化のスピードが加速し、グリーンランドの氷河融解や海水の熱膨張が進んだことで、海面上昇に拍車がかかりました。

その証拠に、海面上昇率は過去30年で急激に上がり、現在では年間3.35mmのペースになっています。

Credit: bbc

では、の数を増やせば、海面上昇は防げるのでしょうか。

フレデリクス博士の答えはノーです。その理由について次のように説明します。

「これまではの建設により、年間の海面上昇を約0.8mm遅らせることが可能でした。しかし、ここ10年で、海面上昇率は年間4mmほどまで来ています。つまり、海面上昇を止めるには、巨大の建設数を5倍に増やさなければなりません。それは経済面でも環境面でも不可能です」

その上で、フレデリクス博士はの建設より良い解決法は、氷河の融解や熱膨張を促すCO2の排出量を削減することでしょう」と指摘します。

大量のバケツを作る前に水道の元栓を閉めろということですね。

 

研究の詳細は、8月19日付けで「Nature」に掲載されています。

The causes of sea-level rise since 1900
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2591-3.epdf

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reference: bbc / written by くらのすけ
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