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巨大ダムが海面上昇を食い止めていたと判明。ダムの建設ブーム中は海面上昇がほぼなかった!?

2021.01.28 Thursday

2020.08.25 Tuesday

温暖化による水の熱膨張や氷河の融解で、海面は年々上昇しています。

ところが、NASA・ジェット推進研究所により、巨大ダムの建設が海面上昇を抑えていたという研究結果が新たに報告されました。

過去100年にわたり、ダムの建設と海面上昇率の関連性を調べたところ、巨大ダムが増加した年代には海面の上昇がほぼ止まっていたとのことです。

しかし、ダムを増やすだけで本当に海面上昇は防げるのでしょうか。

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クロトンダム(アメリカ)/Credit: jp.depositphotos

ダムがなければ海面上昇率は年間12%も高かった⁈

1900〜2018年の海面上昇率を調べたところ、年間平均1.56mmと判明しました。一方で、気候変動による氷河の融解や熱膨張率を考えると、計算では海面はもっと高くなっているそうです。

そこで関連性が見られたのが「ダムの建設」でした。

現在、世界には約5万8000の大型ダムがあり、その多くはここ60年間に建てられたものです。特に、1950〜70年代にかけ、各地で大型ダムの建設ブームが起こり、アフリカ南部・ジンバブエの「カリバ・ダム」、ロシアの「ブラーツク・ダム」、エジプトの「アスワン・ハイ・ダム」などが建てられました。

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カリバ・ダム(ジンバブエ)/Credit: bbc

そして調査の結果、70年代には海に流れ込む水量が大幅に減り、海面の上昇がほぼ起きていなかったのです。

研究主任のトーマス・フレデリクス博士は「過去100年間に、もしダムや貯水施設が建設されていなければ、海面上昇率は年間12%も高くなっていた」と指摘します。

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