輸入先に適応できなかった
ベレニケの集落は、数千年前の古代エジプト時代から存在しました。紀元前3世紀には、戦闘用のアフリカ象を運ぶための港や軍の前哨地として使用されています。
他方で、ベレニケの港が繁栄し始めたのは、古代ローマ人がエジプトを占領した後のことでした。それ以降、ベレニケは、エジプト〜中東〜インドをつなぐ海洋貿易の中心地となっていきます。
インド洋から紅海を通る交易は、数千キロの航路を数週間かけて行われました。香辛料や織物、その他の贅沢品ならまだしも、サルの輸送には移動中の食料や水分も必要です。
「こうした余分な経費や労力を要するにもかかわらず、ローマ人が単なる娯楽目的でサルを輸入した点で注目に値する交易です」とオシピンスカ教授は指摘します。
しかし、骨の分析から、輸入されたサルたちはまだ若い幼体でした。おそらく、栄養不足や輸出先の環境に順応できなかったことで、若く死んだのでしょう。
サルの輸入がその後も継続的に行われていたかは不明ですが、古代ローマ人の慣習を理解する上で貴重な発見となっています。
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