敵国である東ローマ帝国のコインも混じっていた
また、発見された金貨の中には、東ローマ帝国で使われた「ソリドゥス金貨」も含まれていました。
古代金貨の専門家であるロバート・クール氏は「この金貨はコンスタンティノープルで鋳造された、第2代皇帝テオフィロス(829〜842年)時代のもの」といいます。
当時、東ローマ帝国とアッバース朝は敵対関係にあり、現在のシリアやトルコあたりでよく戦闘が起こっていました。今回の発見で、両国間に何らかの友好関係があった可能性も浮上しています。
一方で、単にアッバース朝が東ローマ帝国の領土を襲撃した際に略奪したものかもしれません。
しかし、一番の謎は「誰が金貨を埋め、なぜ取りに戻らなかったのか」ということです。
金貨は土器のような箱に入っており、場所が動かないよう釘のようなもので固定されていました。その点からも、あとで取り出す意思があったと見られます。
取りに戻る前に亡くなってしまったのか、初めから取り出すつもりはなかったのか、あるいは埋めた場所をド忘れしてしまったのか…。
その理由はすでに藪の中ですが、何か興味深いバックストーリーが隠されていそうですね。