なぜ皮膚を失った?
皮膚のないサメは、昨年7月にサルデーニャ近海の水深500メートル付近で見つかりました。
このサメには、健康な個体に見られる皮膚構造(一番外側の表皮全体・表皮と皮下組織の間の真皮・楯鱗だけでなく、口内の歯まですべて)がほぼ完全に欠如しています。
研究チームによると、ここまで不運なサメは滅多に見られないそうです。
サメの生存にとって皮膚が欠かせないことを考えると、かなり致命的ですが、捕まえた時点では健康な状態にありました。
また不幸中の幸いか、本種はエサを丸飲みするので、歯がなくても食事には困らなかったようです。
皮膚がない理由については、遺伝的な要因から人為的なものまで複数考えられます。
現時点では、化学物質に強く汚染された水域に長期滞在したこと、気候変動による海水の温暖化や酸性化による皮膚の喪失、あるいは、胚発生時の遺伝的な異常などがありうるそうです。
これを踏まえて、研究チームは「深刻化する環境の中で、こうした異常を理解することが生物を保護する重要な一歩となるでしょう」と強く訴えています。