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「リストロサウルス」の復元イメージ/Credit: Crystal Shin, scitechdaily
paleontology

2億5000万年前、南極にいた生物のキバに「冬眠」の痕跡を発見!冬眠を始めた最初の生物かも

2021.01.28 Thursday

2020.09.01 Tuesday

動物たちは、食料の乏しい冬の対策として「冬眠(英: hibernation)」という戦略をとります。特に寒さの厳しい極地付近では、大半の動物が冬眠により物静かに冬を乗り越えます。

しかし、冬眠がいつから始まったのかは分かりませんし、化石中に冬眠の証拠を見つけるのは困難です。

ところが、8月27日付けで、「Communications Biology」に掲載された研究により、約2億5000万年前の南極生物の化石に冬眠をした形跡が発見されました。

冬眠を示唆する化石の中では最古であり、冬眠行動が、哺乳類や恐竜の進化前からすでに存在したことを強く裏付けています。

  scitechdaily https://scitechdaily.com/evidence-of-hibernation-like-state-discovered-in-tusks-of-strange-250-million-year-old-antarctic-creature/ ,  livescience https://www.livescience.com/evidence-ancient-hibernation-antarctic.html ,  sciencealert https://www.sciencealert.com/fossil-evidence-shows-animals-have-been-hibernating-for-250-million-years

冬眠を取り入れた最初の生物を発見か?

冬眠の痕跡が見つかったのはリストロサウルスと呼ばれる生物で、現生哺乳類の祖先に当たります。

ペルム紀から三畳紀にかけて世界各地に分布し、ウミガメのような口先と生涯成長し続けるキバが特徴的です。

サイズは小柄なものでイノシシほど、大型だと2メートルを超えるものもいました。これまでに、インド、中国、ロシア、アフリカ、南極から出土しており、当時としてはかなり普遍的な生物だったようです。

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Credit: University of Birmingham

またリストロサウルスは、陸上生物の70%が死滅した約2億5000万年前の「ペルム紀大量絶滅」を生き延びた存在として、生物の進化と適応の歴史を理解するための重要な研究対象となっています。

今回、冬眠の兆候を示したのは、南極大陸で採取されたキバの化石です。リストロサウルスのキバは死ぬまで成長し続けるので、個体の成長過程が詳しく調べられます。

当時の南極大陸は大部分が極圏内に入っており、冬の時期は日の差さない期間が続いていました。その中で、南極のリストロサウルスは、冬を乗り切るために冬眠を編み出した可能性があります。

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