冬眠を取り入れた最初の生物を発見か?
冬眠の痕跡が見つかったのは「リストロサウルス」と呼ばれる生物で、現生哺乳類の祖先に当たります。
ペルム紀から三畳紀にかけて世界各地に分布し、ウミガメのような口先と生涯成長し続けるキバが特徴的です。
サイズは小柄なものでイノシシほど、大型だと2メートルを超えるものもいました。これまでに、インド、中国、ロシア、アフリカ、南極から出土しており、当時としてはかなり普遍的な生物だったようです。
またリストロサウルスは、陸上生物の70%が死滅した約2億5000万年前の「ペルム紀大量絶滅」を生き延びた存在として、生物の進化と適応の歴史を理解するための重要な研究対象となっています。
今回、冬眠の兆候を示したのは、南極大陸で採取されたキバの化石です。リストロサウルスのキバは死ぬまで成長し続けるので、個体の成長過程が詳しく調べられます。
当時の南極大陸は大部分が極圏内に入っており、冬の時期は日の差さない期間が続いていました。その中で、南極のリストロサウルスは、冬を乗り切るために冬眠を編み出した可能性があります。