ストーンヘンジの巨石は、音の「残響効果」が生じるよう配置されていたと判明!儀式の雰囲気をより神秘的に…

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Credit: ACOUSTICS RESEARCH CENTRE/UNIV. OF SALFORD

 

イングランド南部にある「ストーンヘンジ」は、世界で最も有名な遺跡のひとつでありながら、多くの謎に包まれています。

最近、モニュメントに使用された巨石の産出地が判明したと記事にしたばかりですが、それでも謎は尽きません。

しかし今回、2020年10月に雑誌掲載予定の論文によると、ストーンヘンジに隠された驚くべき機能がまたひとつ明らかにされました。

なんとストーンヘンジは、巨石のサークル内にいる人の声を増幅させ、音質を向上させる「音響空間」を作り出していたというのです。

もしかしたら、この音響効果が、儀式の神秘的な雰囲気を高めていたかもしれません。

12分の1スケールで「ストーンヘンジ」を再現

イギリス・サルフォード大学の研究チームは、ストーンヘンジの音響効果を調べるため、遺跡のレーザースキャンおよび過去のデータを用いて、12分の1スケールの精巧なレプリカを作りました。

約4000年前の建設当時は、合計で157個の石が使われたと推測されているため、3Dプリントで石のレプリカを作成し、実際と同じように形に配置しています。

ストーンヘンジの配置/Credit: sciencedirect

最後に、レプリカのサークルの内側と外側の各ポイントにスピーカーとマイクを設置しました。

実験では、スピーカーから低〜高周波の音を出して、サークルの内側と外側での音響の違いを調べています。

巨石のレプリカ/Credit: sciencedirect

サークル内は「ジャズ」にぴったり?

その結果、ストーンヘンジは、石と石の間に多くの隙間があるにもかかわらず、サークル内に音が残る「残響効果」を示しました。

残響時間(音源が発音を止めてから、聞こえる音のエネルギーが100万分の1になるまでの時間)を測定すると、平均で0.6秒だったとのこと。

研究主任で音響エンジニアのトレバー・コックス氏によると、「この残響時間は、声の響きを高め、楽器の音を増強させるのに十分な効果がある」といいます。

実験をするコックス氏/Credit: ACOUSTICS RESEARCH CENTRE/UNIV. OF SALFORD

残響時間の比較として、一般のリビングルームでは約0.4秒、コンサートホールでは約2秒、大聖堂になると約8秒まで達します。

残響時間は長ければ良いというわけではなく、演説やスピーチをするなら短い方が聞き取りやすくなります。

また、音楽の種類によって最適な残響時間も異なり、クラシックは長い方が良く、ポップスなどは短い方がベターです。

ちなみに、残響時間0.6秒はジャズに推奨される時間なので、ストーンヘンジ内でジャズを聴くと最高かもしれませんね。

残響がスピリチュアルな雰囲気を高めた?

その一方で、ストーンヘンジの巨石配置が、サークル外部の音の質を高めたり、内部の音を外に伝えたりする効果はありませんでした。

反対に、サークルは外側から反射してくる音をブロックして、内側だけの残響効果を高めていたのです。

そのため、ストーンヘンジが、遺跡周囲の田園地帯などに音を拡散するスピーカーのような働きはしなかったと思われます。

Credit: jp.depositphotos

残響効果は、儀式などの神秘的な雰囲気を高めるのには最適です。大聖堂の残響時間が極端に長いのもそのためでしょう。

それを知ってか知らずか、当時の人々は、巧みな音響空間を持つように巨石を配置していたのです。

もしこれが意図的なものなら、ストーンヘンジの作り手たちは、現代人も驚きの知恵を持っていたと思われます。

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