活動銀河の形状がスター・ウォーズのTIEファイターにそっくりと話題に

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VLBAが撮影した活動銀河「TXS0128」(左)。STAR WARS Ep4でダースベイダーが搭乗したTIEアドバンストx1(右)。/Credit:NARO,WOOKIEEPEDIA

reference: NASA

雲の形を眺めて、あの形はイルカに見えるとか連想することがありますが、はるか彼方の宇宙に目を向けたとき天文学者も同じような連想を楽しむようです。

米国パデュー大学の天文学教授であるMatthew Lister氏が遠くの活動銀河「を見て思ったのは、「スター・ウォーズ エピソード4でダースベイダーが乗ってた戦闘機に似てる」でした。

8月25日に『The Astrophysical Journal』で掲載された論文によると、この活動銀河「TXS 0128+554」は、地球から約5億光年の距離にあり、取り巻くガスがさまざまな周波数の電磁波を放って独特の形状を作り出しているとのこと。

Lister教授がダースベイダーの戦闘機を連想した銀河は、なぜこんな形をしているのでしょう?

詳細な形まで観測された活動銀河「TXS 0128+554」

15.4GHz帯の電波でVLBAにより観測された「TXS0128」。信号強度は黄色が高く、紫が低い。/Credit:NRAO

TXS 0128+554」はカシオペア座の方角に5億光年の離れた位置に見つかった活動銀河です。

活動銀河とは活発な星生成を行っているエネルギッシュな銀河のことで、その中心には太陽の10億倍近い超巨大が存在しています。

巨大の周囲では、重力の作用で塵とガスが降着円盤を作り、激しく摩擦を起こして電波波長、X線波長、波長など多様な周波数の光を放っています。

観測画ではTIEファイターのコックピットにあたる部分がもっとも信号強度が強く検出されていますが、それはこの部分が活動銀河核なためです。

活動銀河核のジェット

Credits: NASA’s Goddard Space Flight Center

ではこの形状になった理由は何なのでしょう?

こうした活動銀河核のは、約10個に1個ほどの割合で、膠着円盤の両極からジェットと呼ばれる高エネルギー粒子を光速に近い速度で噴出させています。

ジェットが銀河の端にあるガスに衝突すると高エネルギー粒子が減速し、やがて銀河中心に向かって逆流し始めます。

このとき粒子は磁場を中心にらせん状に高速で移動し、広い領域に拡散します。それが戦闘機で言えば翼にあたる部分を作り出しているのです。

この領域を専門用語では電波ローブと呼びます。

強力な電波を放つ活動銀河核と、ジェットの噴出によって形成される電波ローブ。これがTIEファイターのような形状をに作り出した原理です。

5年及ぶ観測の成果

NASAのフェルミ望遠鏡は、3時間ごとに全天を調査する大面積望遠鏡(LAT)を使って3千を超える活動銀河を発見しています。

今回報告されている活動銀河「TXS 0128」も、こうしたフェルミ望遠鏡の調査によって、5年前に発見されました。

発見された活動銀河のほとんどはジェットが地球の方向を向いているため、強力な信号として検出されます。しかし「TXS 0128」はジェットが地球を向いていなかったため、他の活動銀河より信号が10万分の1も弱い状態でした。

そのため「TXS 0128」は活動銀河としては、比較的地球に近い位置にあったにもかかわらず、5年の年月を費やしてデータを蓄積してから報告する必要があったのです。

次に研究者たちは、この活動銀河をVLBAという電波望遠鏡で観測しました。

VLBAはハワイからプエルトリコまで米国各地に配置されたアンテナネットワークで構成される電波望遠鏡です。

広域に配置されたパラボラアンテナで構成される電波望遠鏡VLBA。同種のシステムとしては世界最大。/Credit:Wkipedia,Cumulus Clouds

この観測により、これまでの100倍近く詳細に銀河を見ることができ、今回の研究者がの戦闘機を思い浮かべるような形状まで確認されたのです。

観測では、翼のような電波ローブの構造は35光年に及んでいて、地球の視線方向に対して約50度傾いていることがわかりました。

銀河の形状は観測する周波数で変わって見えます。このTIEファイターの形状は6.6GHzから出現するそうです。

2.3,5,6.6,8.4,15.4,22.2GHzで観測されたTXS 0128の変化する外観の様子。/Credits: NRAO/NASA’s Goddard Space Flight Center

この銀河は傾いていたため、ジェットの光が位置によって時間差で地球に届きます。

これはジェットがまっすぐ地球を向いていた場合より貴重な観測対象です。この作用によって、時間的な変化を確認することができるからです。

この活動銀河のジェットは分析の結果、約90年前に始まり、約50年前に停止していました。しかし、およそ10年前に再びオンになりコアの近くで放出が始まったようです。

こうしたジェットが突然オンになったりオフになったりする原因は、現在のところわかっていません

さらなる調査が、こうした謎を解明する機会を増やしていくことでしょう。

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