生き別れた「三つ子の兄弟」、感動の再会に隠された残酷な真実とは

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再開した三つ子、左からボビー、デイビッド、エディー/Credit: Newsday LLC

 

「この世には自分とそっくりな人物は地球の3人はいる」とよく言いますが、実際に遭遇した人はどれだけいるでしょう。

そんなシチュエーションは映画や小説の中だけだ、と考える人が大半のはずです。

しかし世の中には、自分と瓜二つの人物と「2人」も出くわした人が存在するのです。

嘘のようですが、ボビー・シャフランという男性に起きた話を聞けば、きっと「事実は小説よりも奇なり」と言いたくなるでしょう。

19年後の再会

1961年7月12日に産声を上げたボビー・シャフランは、裕福な家庭ですくすくと育ち、ニューヨークにあるサリバン・コミュニティ・カレッジに入学しました。

しかし、登校の初日に人生を変える出来事が起こります。

ボビーは、まったく見ず知らずの学生たちに慣れ親しんだ様子で声をかけられました。そして、誰もが口をそろえて「やあ、エディ!」と呼びかけたのです。

Credit: unbelievable-facts

エディーとは一体誰なのか? そして、なぜ自分はエディと呼ばれるのか?

奇妙な出来事に圧倒されたボビーは、学友のマイケル・ドムニッツから驚きの真実を聞かされました。マイケルは、エディという人物と友だちで、ボビーの見た目がエディと瓜二つだと告げたのです。

唖然としたボビーは、マイケルを通じて、エディと会えることになりました。

19年ぶりに再会したボビー(左)とエディー(右)/Credit: unbelievable-facts

2人は会った瞬間、衝撃のあまり数分間、黙ったままお互いを見つめ合ったそう。

エディの名前は、エディ・ガーランドと言い、ボビーと生年月日がまったく同じでした。

なんと2人は、出生時に生き別れた一卵性の双子だったのです。

しかし、話はこれで終わりませんでした。感動の再会の物語を完結させるもう一人の存在がいたのです。

ボビーとエディの再会、中央がマイケル/Credit: unbelievable-facts

3人目の兄弟

ボビーとエディの再会から数ヶ月後。エディの養母が、とある電話を受けます。

そして、電話の相手は唐突に「僕が3人目だと思います」と告げたのです。

そう答えたのはデイビッド・ケルマンという青年でした。

デイビッドが見つけた再会の記事/Credit: youtube

デイビッドは当時、ニューヨークのクイーンズカレッジの学生で、「19年ぶりに再会したボビーとエディの物語」というニュースを新聞で知り、2人の写真を見て愕然としました。

2人は自分とまったく同じ顔だったのです。それですぐに連絡を取ったと言います。

そう、彼ら双子ではなく、三つ子だったのです。

ついに再会を果たした3人/Credit: youtube

ついに再会を果たした3人は、お互いの人生を語り合いました。すると奇妙にも多くの共通点が見つかったと言います。

まず、愛煙するタバコは3人ともマルボロで、レスリングも嗜んでおり、好みの女性のタイプもまったく同じでした。彼らは双子によく見られるように、シンクロして同じ言葉を同時に喋ることがあったそうです。

結局、3人はアパートの部屋を借りて同居することになり、その後、「三つ子(Triplets)」というレストランを開いて、繁盛します。

メディアにも引っ張りだこで、19年という空白を埋めるような幸せな時間を過ごしました。

レストラン「三つ子」で大繁盛/Credit: youtube

幸せの終わり。隠された闇の真実とは

しかし、3人の幸せも長くは続きませんでした。

「自分たちはなぜ生き別れたのか」という根本の問いに気づいた日から、3人の関係に亀裂が入り始めます。

そして、再会から15年後の1995年、養父との関係から躁鬱病を発症し入院していたエディが、拳銃で頭を撃ち抜き自殺しました。

エディの死に打ちひしがれたボビーとデイビッドも、次第に疎遠になっていきます。

幸せだった頃の3人/Credit: youtube

その同じ年、ピューリッツァー賞を受賞したジャーナリストのローレンス・ライトが、ある科学実験に関する記事を発表します。

アメリカの心理学者ピーター・ノイバウアーが主導したこの実験では、養子縁組会社の協力を得て、双子を引き離し、それぞれ経済力の異なる家庭に引き取らせ、どのような違いが起こるかを検証していました。

いわゆる、「生まれ(nature)か育ち(nurture)か」の双子実験です。

この実験に選ばれたのが、まさしくボビー、エディ、デイビッドの三つ子でした。

出生時の3人/Credit: Three Identical Strangers/RAW

彼らは、最初に信じていたように偶然の不幸で生き別れたのではなく、極秘に実行された科学研究の一環として意図的に切り離されていたのです。

結果、ボビーは裕福な家庭に、エディは中流家庭に、デイビッドは労働者階級の家庭に引き取られました。3人が生後6ヶ月のことです。

ノイバウアーと研究チームは、それぞれの養父母に「幼児期の発達調査の一環として引き取って欲しい」とだけ告げ、研究の真の目的は誰にも話さずに実験を続けました。

ピーター・ノイバウアー/Credit: youtube

ノイバウアーは、他にも数々の双子実験を行いましたが、その内容はイェール大学に保管され、2065年まで非公開になっています。

残酷な科学実験で人生を奪われた三つ子の物語は、2018年に同じ遺伝子の3人の他人(Three Identical Strangers)』という題で、ドキュメンタリー映画となりました。

Credit: Amazonより

事件発覚から数十年後、もう一度再会したボビーとデイビッドは「身勝手な科学者の実験に心を痛め、怒りを感じている」と話します。

非人道的な科学実験で奪われたエディの命は二度と戻ってきません。

3人がこの世で三度再会する夢はもう叶わないのです。

彼らのストーリーは、環境と遺伝が人格形成に及ぼす影響、そしてそれを実験する是非について、深く考えさせられるものとして語り継がれています。

再開したボビーとデイビッド/Credit: youtube
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