標高3200mから慎重に移送
一方、調査のためには、シャモアのミイラを傷つけず慎重に運び出す必要がありました。ミイラが出土したのは標高3200メートルの高地であり、人手で運びながら下山するのは不可能です。
そこで研究チームは、イタリアの山岳歩兵隊であるアルプス陸軍部隊に協力を依頼し、特殊なケースにミイラを収容してから、ヘリコプターに吊るしてボルツァーノにある研究所まで移送しました。
ミイラは腐食が進まないよう、マイナス5度で保存されています。

現在、シャモアのミイラは、DNAや体組織が良い状態で保存されていますが、熱を受けると徐々に劣化し始め、貴重な遺伝情報も欠損していきます。
ツィンク氏は「保存条件が変わったときに、DNAがどのように変化するかを理解するサンプルとなり、今後のミイラ保存方法の模索に役立つでしょう」と話しました。
と同時に、近年の温暖化により氷河の溶解が進んでいることを踏まえると、今回の発見はミイラ大量出土の幕開けに過ぎないのかもしれません。