進化史が覆る!?サメは硬骨魚の祖先から”あえて軟骨にシフトした”という研究

paleontology

Credit: jp.depositphotos

 

サメは、骨格のすべてが軟骨からなる「軟骨魚類」に分類されます。

対して、骨格が硬い骨からなるグループを「硬骨魚類」と呼び、マグロやタイ、サケはもちろん、ヒトを含む哺乳類もそこから誕生しました。

そして、定説によると、硬骨魚類はサメやエイなどの軟骨魚類から進化したと言われています。

ところが、9月7日付けで『Nature Ecology & Evolution』に掲載された研究において、新たに見つかった4億年前の古代魚の化石から、この定説を覆す結果が示唆されました。

なんとサメは、硬骨魚の祖先を持ち、そこから軟骨魚類にあえてシフトしたというのです。

果たして、サメは軟骨にどんな利点を見出したのでしょうか。

 

サメ以前の魚類に「硬骨」を発見!

ロンドン自然史博物館インペリアル・カレッジ・ロンドン、およびモンゴルの共同研究チームは、モンゴルの発掘所で約4億1000万年前の古代魚の化石を発見しました。

調査の結果、魚は新種と判明しており、新たに「Minjinia turgenensis」と命名されています。分類としては「板皮類(ばんぴるい、英: Placoderm)」というアゴ骨を持った最初の生物群に属し、軟骨・硬骨魚類より以前から存在していました。

新種の体長は、約20〜40センチと推定されています。

見つかった頭蓋骨の一部、円形部に硬骨化の痕/Credit: Imperial College London/Natural History Museum

見つかった化石は頭蓋骨の一部分のみですが、非常に興味深いのは、骨に硬骨化の痕が確認されたことです。

これはヒトを含む脊椎動物に見られる特徴で、胎生期に軟骨からできていた骨格が成長とともに硬い骨組織に変わることを指します(軟骨内骨化)。軟骨魚類のサメにはこれが起こりません。

つまり、魚類はサメの誕生以前にすでに硬骨を発達させていたことになります。

同チームのマーティン・ブラゾー博士は「硬骨化を示す板皮類が見つかったのは今回が初めてであり、予想外の発見でした」と話しています。

サメが軟骨を選んだ理由とは?

一方で研究チームは、サンプルが一つしか見つかっていないため、過剰な解釈をしないよう慎重を期しています。しかし、もしこれが真実なら、サメは硬骨を発達させた祖先から再び軟骨骨格にシフトしたことになります。

ブラゾー博士は、これについて、「サメが硬骨化を捨てたのであれば、それは進化的な適応の可能性が高い」と指摘します。

サメには、のちの硬骨魚類で発達した鰾(ひょう)、いわゆる浮力を生み出す「浮き袋」を持っていません。骨が丈夫で重い硬骨魚には浮き袋が必要です。

Credit: pixabay

しかし、サメの軟骨は、硬骨の半分ほどの骨密度しかなく、非常に軽いので水中での俊敏性や機動性が格段に上がります。また、浮き袋がないので、海底や深海を這うように泳ぐことも可能です。

そのため、サメの狩りの範囲は非常に広くなり、結果的に4億年前から現在にいたるまで海の頂点捕食者として繁栄することになります。

もしサメが、この未来を見越して軟骨骨格を選んだとすれば、彼らは大きな賭けに勝ったと言えるでしょう。

あわせて読みたい

SHARE

TAG