この50年で野生動物の数は平均68%も減少していた

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世界自然保護基金(WWF)が隔年で発表している「生きている地球リポート2020」において、1970年以降の50年間で、地球の野生生物の個体数が平均で68%も減少したと報告しました。

この手の話にあまり興味がない人でも、50年間で68%という減少数は危機感を覚える数字でしょう。

専門家もこの減少数には驚いており、私たち人類の生存を維持するためにも、自然の保全を考える必要があると警告を発しています。

生きている地球指標

哺乳類、鳥、魚、両生類、爬虫類の個体数は、1970年以来平均68%と驚くほど減少している。/Credit:livingplanet.panda.org

「生きている地球レポート(Living Planet Report )」は、40以上のNGOと学術機関が共同で行った地球環境とそれに対する人間の活動による影響を研究をまとめ、2年に1度発行されている報告書です。

このレポートの中では、4000以上の脊椎動物を追跡した生物多様性の指標「生きている地球指数(living planet index:LPI)」というものが計算されています。

LPIは調査の始まった1970年を1として、個体数の減少率を試算しています。

全生物種を網羅した調査ではないものの、これは平均株価指数のように全体の傾向を示します

WWFインターナショナルのマルコ・ランベルティーニ事務局長によると、1970年以降、生物多様性は驚異的な速度で失われているといいます。

「私たちが監視してきた結果、減少は加速しており、それは現在も進行し続けています。2016年の時点でLPIは60%の減少を記録していましたが、現在は70%に達しています

これは多くの種が地球上で生きてきた数百万年という期間に対して、あっという間の出来事です。

驚異的な生物数の減少は何を意味するのか?

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過去半世紀の間に、人類は天然資源の爆発的な消費に支えられ、空前の経済成長を遂げてきました。

生物減少の主要な原因は、森林伐採の増加と農業の拡大であると報告されています。

人間の活動に対して、地球が資源を再生させるのに必要な面積を表す「エコロジカル・フットプリント(Ecological footprint:EF)」という指標が「生きている地球レポート」では報告されています。

これは1970年までは地球資源再生能力に対して人類の活動は小さいものでしたが、現在EFは地球の能力の半分以上を超過していると試算されています

これが地球面積を超えてしまった場合、もうその世界は持続不可能な社会ということになってしまいます。

現在でも日本やアメリカなど先進国は、国土を大幅に上回るEFを記録していて、世界が日本と同じ水準の暮らしをした場合、地球の2倍以上の面積が必要であることが示されています。

つまり人類は地球を使いすぎということなのです。

また、野生生物の減少は、地域によってより深刻なものとなっています。

指標によると中南米の熱帯地域では、1970年以降、94%もの種が消えているのです。

地域ごとのLPI。/Credit:livingplanet.panda.org

これは非常に驚異的な値です。

食い止める方法はあるのか?

この問題を食い止め、持続可能な世界を目指す研究は世界中で進められています。

9月10日に科学雑誌『nature』に発表された研究では食料供給システムの改革が効果的であると報告されています。

食品廃棄物を減らし、環境に優しい食生活を選ぶことで、驚異的な生物の減少傾向は緩和できるというのです。

これは根本的な自然保全の努力と共に実行されることが前提ですが、将来的に生物多様性の損失を3分の2以上回避することが可能だと示唆されています。

一般的に生物多様性の回復率は、損失よりもはるかに遅いことが知られています。「早く行動を起こさなければ間に合わなくなる」と、研究の筆頭著者である国際応用システム分析研究所(IIASA)の研究員David Leclere氏は警鐘を鳴らしています。

地球に起きている大きな変化は、人類にとって他人事ではありません。それは私たちの健康で幸福な生活と、密接に関連するものなのです。

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ほんの10年くらい前までは、地球温暖化について地球の平均気温が1~2度上昇したからなんなのさ、と思っている人がほとんどでした。

しかし昨今の夏期間の暮らしづらさを考えると、野生生物の驚異的な減少も対岸の火事と見過ごしてはいられない問題だと理解できます。

宿主を殺してしまうようなウィルスに対して、私たちはよく宿主が死ねば自分も死ぬのにウィルスは加減できないの? という疑問を口にしています。

しかし、人間は自分たちの宿主たる地球の健康を維持するために、程よいレベルまで活動を抑制できるのでしょうか?

地球上の生命と共存していくという問題は、道徳的な意味もありますが、なにより私たちが快適で健康な暮らしを維持するために必要な要素なのです。

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