2000年前の「中国の魔鏡」のナゾ、”反射した光に模様が浮かぶ”仕組みとは?

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中国の魔鏡
中国の魔鏡 / 「中国の魔境」、裏面に彫られた模様/Credit: youtube
reference: amusingplanet

1000年以上にわたり、世界中の学者を混乱させ続けた不思議な鏡があります。

一見普通の手鏡に見えますが、鏡に光を当てて反射させると、裏面に彫られた模様が浮かび上がるのです。

専門家たちはこれを「中国の魔境(英: Chinese Magic Mirrors)」と呼び、その仕組みの解明に心血を注いできました。

古来中国に伝わる魔法の鏡は、一体どのような仕掛けが施されているのでしょうか。

仕組みを記した「解説本」は失われていた

中国の魔は、紀元前206〜紀元後24年まで続いた漢王朝の時代まで遡ります。

実は魔鏡の仕組みは、少なくとも8〜9世紀頃までは語り伝えられていました。800年代には、製造法や詳しい仕組みが記された本が存在したのですが、のちに紛失してしまいます。

それから200年が経った頃には、中国の知識人にとってもナゾの一品となっていました。

鏡
鏡 / 表面は普通の手鏡として使える/Credit: youtube

学者・政治家として活躍した沈括(しんかつ、1030〜1094年)は、中国の科学技術史で最重要の文献とされる『夢渓筆談』を書き、その中に魔鏡についての記録を残しています。

「鏡には、古代の筆記体で20の文字が記されている。鏡に光を照らすと、文字が鏡をすり抜けて壁に映し出される。壁に映された文字ははっきりと読むことできる。

私の家系で同様の鏡を3つ所有しているが、他の一族で家宝にされている鏡も見たことがある。どれも同じ光を通す鏡だ。しかし、その仕組みは皆目見当がつかない。古代人は、特別な技術を持っていたのだろう。」

「沈括」の肖像画
「沈括」の肖像画 / 「沈括」の肖像画 / Credit: ja.wikipedia

反射光が像を映し出す仕組みとは?

現在の最も一般的な解釈は、鏡面に裏の模様に対応した微小な凹凸があり、そこに光が当たることで裏面と同じ模様を映し出すというものです。

この凹凸は肉眼では見えないほど小さなものですが、日光の平行線を受けると、凸部では光が分散して暗くなり、凹部では光が収束し明るくなります。

こうした明度の差が、裏面の模様を投射させていたのです。

魔境が模様を映す様子
魔境が模様を映す様子 / Credit: youtube
魔鏡が模様を映す様子2
魔鏡が模様を映す様子2 / Credit: youtube

通説となっている製造方法は、まず、裏面の模様に沿って青銅を流し込み、鏡を作ります。次に鏡を研磨していき、ある程度の薄さに達すると研磨の圧力に耐えられなくなって、鏡が変形し始めます。

そのとき、裏面の起伏に沿って変形するため、模様に対応した凹凸が生じるのです。

こうして像を映し出す不思議な魔境は完成します。

しかし、こんな一品を2000年近くも前に作っていたなんて、古代中国にはとんでもない技術者がいたようですね。

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