菌類から作られる「生きた棺」が誕生!有害物質を使わずに、”遺体をすばやく自然に帰す”

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菌糸体を使った棺桶/Credit: Delft University of Technology
reference: futurism, tudelft

オランダの新興企業・ループ社により、地中に生育する菌糸体を使った棺「リビング・コクーン(英: Living Cocoon)」が発表されました。

この棺は、遺体の分解プロセスを早め、土壌の有害物質を取り除き、新しい植物の成長を助けるはたらきをします。

木や金属を使った従来の棺桶では、遺体が分解するまでに10年以上かかりますが、リビング・コクーンでは2〜3年で完全に分解するとのこと。

開発者のボブ・ヘンドリクス氏は「現代の装飾的な埋葬が忘れてしまった、”人を自然に帰す”という基本に立ち帰る目的のもとに開発を進めました」と話します。

葬儀に必要な有害物質は一切不要

菌糸体は、糸状になった菌類の集合体であり、寿命は数千年と長く、サイズも数ミクロ〜数千エーカーという広さにまで大きくなります。

「自然界のリサイクリスト」とも呼ばれる菌糸体は、チェルノブイリ原発事故により汚染された土壌から放射性物質を分解するためにも使用されました。

ヘンドリクス氏は「菌糸体を使えば、土壌に浸み込んだ石油やプラスチック、金属などを分解可能な上に、環境との親和性が高く、新たな植物が生まれる土壌を準備できる」と指摘します。

Credit: jp.depositphotos

アメリカ・コーネル大学の調査によると、葬儀会社は、アメリカだけでも年間430万ガロン(1ガロン=約3.8リットル)の防腐剤を使用し、棺には膨大な数の樹木が使われます。また、火葬でも石油やガス、化石燃料を用いることで、大気中に有毒ガスを放出しているのです。

しかし、リビング・コクーンは、わずか1週間で育てられ、約1ヶ月半あれば地中に溶け込みます。

遺体は菌糸体を通して再び自然と一体になり、環境を汚染する代わりに豊かな土壌を育むのです。

Credit: Delft University of Technology

死者の埋葬から新たな生命が生まれる

オランダの葬儀会社は、環境に配慮した「菌葬」という方法をすでに採用し始めています。

葬儀会社CUVOの責任者であるフランク・フランセ氏は「このような持続可能なイノベーションを進めることは重要であり、私たちの方針にも合致している」と話します。

コスト面でもメリットがあり、従来の木製棺が、2000ドル〜1万ドルの費用がかかるのに対し、リビング・コクーンは、1500〜1700ドル(16万〜18万円)で購入可能です。

ボブ・ヘンドリクス氏/Credit: Delft University of Technology

ヘンドリクス氏は「現代社会は、亡骸を一種の物と見なし、有害物質と一緒に埋めたり、燃料を使って燃やしたりします。私たちは、自然から木材を伐採して死んだ棺を作るのではなく、生きた素材を用いて遺体を自然に帰すという新しいヴィジョンを持っています。リビング・コクーンは、墓地を森に変え、死者の上に新たな生命を育てることができるでしょう」と話しました。

Credit: Delft University of Technology

人が自然のサイクルに立ち帰る素晴らしい試みですが、火葬が一般的な日本で「リビング・コクーン」が採用される日は来るのでしょうか。

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