孤独なカメの赤ちゃんも「顔の模様に惹かれる」と判明。子どもが親の顔を見て微笑む理由が覆る!

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ペットのカメが自分を見つめいると思うのは気のせいではなかった。カメも動物の顔をじっと見るようにプログラムされている/Credit:Gionata Stancher
reference: inverse

人間の赤ちゃんはお父さんやお母さんの顔を見ると自然に笑みを浮かべます。

さらに近年の研究により人間だけでなくサル、犬、ニワトリなど様々な動物が親の顔のような3つの点(目、目、口)からなる模様に惹きつけられることが明らかになってきました。

親の世話を受ける種族にとっては、自分を保護してくれる親を認識するため、このような顔型への親和性があると考えられています。

しかし、9月14日付けで『PANS』に掲載された研究によって、顔型への親和性に親子の絆は必ずしも必要ないことが示されました。

これは今まで考えられていた動物の親子関係に大きな打撃を与える結果となります。

なぜ動物は顔に惹きつけられるのでしょうか?

顔に惹きつけられる理由は「親子の絆説」に疑問

もし顔型への親和性が親子の絆が元になっているなら、カメには関係のない話である/Credit:Gionata Stancher

人間だけでなく、親に育てられる多くの動物は3点からなる顔の模式図に引き寄せられる性質を持っています。

これまで、この顔型に対する親和性は親子の絆を維持するために動物が身につけた、愛の生存戦略だと考えられてきました。

しかし、ロンドン大学クイーン・メアリー校のヴェルサーチ氏は、この如何にも心温まる説に、ふと直感的な疑問を感じました。

顔型への親和性は、確かに親子の絆を維持する方法であるとも解釈できますが、親以外の動物全般に注意を向けるための、認識システムである可能性も十分に考えられたからです。

そこでヴェルサーチ氏は、親の保護を受けずに育ち、同族同士との接触も嫌う、孤立を好むカメに3点からなる顔型をみせるを思いつきました。

もし顔型への親和性が親子の絆の獲得によって生じた能力ならば、産まれてから死ぬまで親の顔を一度もみないカメには、顔への親和性は不要な能力のはずです。

親子の絆が存在しないカメは、いったいどんな反応を示したのでしょうか?

顔への親和性は「親子の絆」を超越する

カメもランダムな3点より逆三角形の顔型の3点を好んだ/Credit:PNAS
3点を逆にしてみても、やはり逆三角形の顔型を好む。単に3点を好むわけではない/Credit:PNAS

にあたっては、上の2つの動画のように、3点からなる顔型とランダムな3点のどちらにカメが引き付けられるかが調べる極めてシンプルな方法が選ばれ、5種136匹のカメに対して調査が行われました。

その結果から驚くべき事実が判明。親子の絆が存在しないカメであっても、3点からなる顔型に強く引き付けられることが判明します

もちろんに使われたカメは生後間もない個体であり、生育中に人間との接触はありませんでした。

それでもカメは、時間の実に70%を顔型の近くで過ごしたのです。

この事実は、顔型に対する親和性は親子の絆といった狭い範囲だけで起こる現象ではなく、の両方の先祖にさかのぼる非常に古く、かつ一般的な動物認識システムであることを意味します。

顔に対する親和性は共通の祖先から受け継いだ遺産

有羊膜類は両生類から約3億1200万年前に分岐した、とハ虫類の共通の先祖である/Credit:wikiwand

今回の研究により、逆三角形の3点が顔に見えてしまう仕組みがの垣根を超えた共通のシステムであることが判明しました。

おそらくも、脳内に逆三角形の3点を顔と認識する、古代から受け継がれた同一の回路(神経接続パターン)を持っているのでしょう。

ただ今回の研究では、がもとは一般的なシステムであった顔型に反応する仕組みを、「親子の絆に転用している可能性」まで否定するものではありません。

一般的なシステムをより限定された目的に転用する過程は進化のあらゆる段階で起こり得ます。

動物の生育期に親子の絆が存在するのか、今後も研究は続いていくようです。

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