小惑星落下から生き残るには「クチバシ」が重要だった

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鳥のイメージ
鳥のイメージ / Credit:depositphotos
reference: smithsonianmag

現在の鳥類はクチバシをもっています。しかし、太古に存在した翼竜たちは鳥のような翼をもちながら、口には歯が付いていました。

カナダ・トロント大学の生態&進化生物学部の古生物学者デレク・ラーソン氏は「Current Bioligy」誌に、白亜紀末に生じた恐竜の大量絶滅から生存する鍵がくちばしにあったとの仮説を提唱しました。

大量絶滅の原因は小惑星落下による環境変化だと考えられており、クチバシを持つ鳥は粘り強く食物を得られたとのこと。

小惑星落下による白亜紀の大量絶滅で生き残ったのは?

古生物学者たちは6600万年前の白亜紀末に起こったとされる大災害に注目してきました。

直径9.6kmを超える小惑星が現在のメキシコ・ユカタン半島を襲い、世界史上5番目の大量絶滅を引き起こしたのです。

ユカタン半島北部
ユカタン半島北部 / 小惑星が落下したとされるユカタン半島北部/Credit:NASA/wikipedia

大気突入によって生じた断片が世界中に降り注ぐと、あちこちで森林火災が発生しました。

そして大量のススやチリを発生させ、それらが空中へと舞い上がります。舞い上がったススやチリは空を覆い、太陽光が地上へ到達するのを妨げるほどだったとのこと。

しかもその状態は数か月続いたとされています。細かいチリやススは上昇していき成層圏や中間層で数年間も留まっていた可能性があるのです。

そのためその小惑星衝突後は気温が著しく低下し、植物は光合成できなくなりました。当然、それまで繁栄していた恐竜たちも大きな影響を受けたでしょう。

ある調査によると、白亜紀の終わりに6600万年前から存在していた種の75%以上が絶滅しました。そしてその中には歯を持った翼竜も含まれていたのです。

歯をもつ翼竜ソルデスの復元図
歯をもつ翼竜ソルデスの復元図 / 歯をもつ翼竜ソルデスの復元図/Credit:Dmitry Bogdanov/wikipedia

しかしこの災害で唯一生き残ったとされるのが、クチバシを持った鳥類です。

「歯」は食べものを確保し生きていくために有用な特徴であるはずですが、大災害では歯を持った生物が絶滅し、クチバシを持った鳥類が生き残ったのです。この謎は長年議論され続けています。

クチバシと砂嚢(さのう)が鳥類を絶滅から救っていた?

太古の鳥類(翼を持った生物)の中には、昆虫や小さな動物を捕まえるために歯が付いているものが存在していました。

しかし別の鳥類は歯の無いくちばしを持っており、歯をもっている鳥類よりもはるかに変化に富んだ食生活を送っていたようです。

クチバシをもつ鳥類たちは、昆虫や動物性の食べ物に特化していなかったので、種子や木の実などの硬いものも摘まみ上げ食べることができました。

そしてこの特性が、白亜紀末の大災害後でも粘り強く生き残ることを可能にしたとのこと。

破壊された森の中から種子を見つけ出して食べ、植生が戻るまでの数十年を待つことができたのかもしれません。

鳥類の解剖図
鳥類の解剖図 / Credit:Shipley, A. E. / wikipedia

もちろん、クチバシだけが大量絶滅を生き残るポイントだったわけではないでしょう。実際、アヒルのような鳥であるベガビス(英: Vegavis)はその時期に絶滅しました。

英国キングス・カレッジ・ロンドンの解剖学者アビゲイル・タッカー氏は、「クチバシだけでは十分ではありません。強力な砂嚢(さのう)を持ち、硬い種子を砕ける鳥が生存の可能性を高めていました」と述べています。

砂嚢は砂肝、砂ずりとも呼ばれる消化器官の1つであり、鳥類や爬虫類、魚類などに見られます。この器官は分厚い袋状の筋肉でできており、食べたものをすりつぶせるのです。

この「クチバシと砂嚢が小惑星落下からの生存を可能にした」という考えは、鳥類の機能と白亜紀の状態を分析して提出した1つの仮説に過ぎません。

古生物学者たちは今後も6600万年前の大量絶滅に注目し、より深い理解を得るための調査を続けていくことでしょう。

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